2010年2月26日

社会問題の議論でポジショントークを避ける二つの方法


Rennes, France
ベーシック・インカムよりも怠け者同盟の社会 このエントリーを含むはてなブックマーク」と「ベーシック・インカムの議論が見えなくさせるもの このエントリーを含むはてなブックマーク」と書いてきましたが、結局はみんなが自分の立場を良くするためにポジション・トークをしてるだけだと結論されそうなので、それを回避する方法を考えようと思います。

ニコニコ動画で行われたベーシック・インカムについての討論の参加者は、金持ち、社長、教授などでした。なので、「ベーシック・インカムの議論が見えなくさせるもの」で書いたように、金持ちが不可能なシステムを議論して大衆の目をそらさせているだけという解釈も可能になってしまいます。彼らが彼らの社会的地位を有利にするように、しゃべっているように聞こえてしまうからです。逆に、社会に打ちのめされて働く気力も無い人がどんなに悲惨な状況であるのか、訴えてくれればその方がベーシック・インカムに説得力を持たせられるでしょうか?そうは行かないでしょう。彼もまた自分が有利になるように、しゃべっているように見られてしまうからです。

税収の分配が金持ちから貧乏人に行われることを考えると、全員が合理的に発言してしまうと、「払う側の人は少なく払いたい、もらう側の方は多く貰いたい」という決まりきった結論しか出なくなってしまいます。例を挙げると、「ベーシック・インカムの議論が見えなくさせるもの」の論理を持ち出して、金持ちにベーシック・インカムを語る資格はないと言い切ってしまうのもフェアではないのです。なのでこのエントリでは、ポジション・トークの仕組みを分析して、それを回避する二つの方法を紹介しようと思います。

ポジション・トークは受け手が作り出すもの

ポジション・トークとは株式・為替・金利先物市場で、あるポジションを取っている投資家が自分を有利にするために発言することという語源なので、発言する側が作り出していると思われがちです。でも大抵の場合、社会問題の議論では発言する側があまりポジションを気にしていなくとも、受け取る側がポジションを気にします。

ベーシック・インカム以外の例で、例えば、ホリエモンの「積極移民やってみればいいじゃん、と私は思いますけど。やってみないとどうなるかわからんし。やる前から色々最悪ケースのことばかり考えてたら何も進まないよ。引用)」です。発言する側は色々考えて現状の打開策として提案しているかも知れません。しかし、受け取る方は「それは君が移民を使う方だからでしょ。移民と賃金競争しなければならない庶民はどうなるの?」と考えます。ちなみに、これは実際にフランスで起きたことです。高学歴のエリートは賃金を圧縮できる移民を歓迎し、大衆は低賃金の移民との競争による賃金の低下を恐れました。メディアでは「ポーランドから低賃金の配管工が来る」というようにセンセーショナルに報道されました(屈辱を受けたポーランドの反撃とかが面白いので、興味がある人はこちら→[書評] 大欧州の時代—ブリュッセルからの報告)。

もうひとつの例は、「恐慌が起こったら楽しそうだな」と言ったり、自身を混乱ラバーのと呼ぶChikirinさんです。普通の庶民は「大恐慌とか起こったら楽しそうだな〜なんて言えるのは、彼女が米国MBA帰りの外資コンサルタントできるぐらいの能力の持ち主だからでしょ」と思ってしまいます。でも彼女のブログを注意深く見ていると、明治維新の時に「戦が足り申さん」と言った西郷隆盛のように焦土の中から新生日本が立ち上がってくるヴィジョンを持っていたりするかも知れないのです。例えばこれとか→日本が次のステージに進めないワケ - Chikirinの日記 日本が次のステージに進めないワケ - Chikirinの日記

まとめると、ホリエモンやChikirinさんはポジションを意識して発言しているわけではなくて、受け取る側がポジション・トークと受け取っているという側面があります。

将来の息子・娘の視点に立って発言する

ポジション・トークを回避するには、発言者側が受け取り側に、自分のポジションによらず主張しているように見せなければなりません。そのための最初の提案は、自分の子供達や孫たちが生きる世界を想定することです。上の例では、「移民入れてみたら」とか「大恐慌楽しそう」とか言えるのは、彼らの能力ならばどんな社会でも上層に行けると思うから、皆がそれをポジション・トークだと思うわけです。これを自分の子供達もその社会で生きさせてあげたいという論理展開になっていたら違った受け取り方になると思うのです。

子供は親の能力を完璧に受け継ぐわけではありません。産んでみてもその子がかなり育つまで、その能力が未知数です。孫の場合にはさらにそうでしょう。上の例では、「自分の孫には移民がたくさんいる国にませてあげたい」、「大恐慌で世界が大混乱に陥っている時を楽しませてあげたい」というような論理展開だったら多くの人が納得できると思うのです。

若者・学生の立場で発言する

もう一つの提案は、手前味噌なのですが、若者が発言することです。学生のうちに発言しておくことです。若者は社会に出てから30年〜40年働きます。高級クラブでドン・ペリニヨンを飲みまくる夢を持っているかも知れません。大金持ちとなった自分が多額の税金を納め、弱者に施しをするのは嫌だと考えるかも知れません。ただ一方で、失職して生きる希望を失ってしまう不安も持っているかも知れません。立場の固まっていない若者は、最も公平な立場で発言できる立場だという印象を受け取り手に与えられます。

ポジション・トークを回避する議論でポジション・トークをするのもあれなので、詳しく書きませんが、社会問題の議論には、若者が参加すべきだと思います。

まとめ

ベーシック・インカムの議論に立ち戻ると、1) 大人は現在の地位を離れて子供や孫にそのような世界を与えたいのかどうか議論するか、2)学生がそういう社会に住みたいかどうかを発言して行けば良いことになります。

関連『フランスの移民政策について』:
関連『フランスのエリートと大衆について』:

4 comments:

匿名 さんのコメント...

こんにちは、このブログを読んで、フランスに興味が出てきたんですが、フランス語って日本語や英語に比べて優れている点はなんでしょうか??

英語よりも発音が多いって本当ですか?
あと、不規則動詞とか覚えるのつらかったですか??

知りたいです!!

Madeleine Sophie さんのコメント...

フランスの日々: フランス語の勉強の仕方(まとめ)
↑僕はこんな風に勉強しました。ぜひ、参考にしてください。

匿名 さんのコメント...

趣旨は誠にもっともだと思うのですが、

子や孫がいる未来の可能性が(想像でき)ない若くない者にはどうしようもない。

結論:ポジショントーク回避は原理的に不可能?

匿名 さんのコメント...

能力何でしょうねぇ……。
堀江さんやChikirinさんはそんなに能力があるんでしょうか。
少なくとも世のため人のために立っている仕事をしているようには見えないけれど。

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