2009年7月25日

大きい中国が国民の利益という中国の言い分


Paris, France
世の中には片方の意見が一方的に正しいなんてことは滅多にありません。対立によってどんなに悲劇的なことが起こっていても、どちらかが悪くてどちらかが正しいなんてことはありません。例えば、あるフランス映画で扱われた米軍統治下のイラクにおいて少女がトラックにひき殺された事件がありました。イラク側の反抗者はアメリカの侵略に反抗するため、道路に少女を立たせておいたのです。米軍のトラックが少女の前で止まれば容易に襲撃できます。そして、襲撃を恐れるトラックは道路に立つ少女の前でブレーキでなく、アクセルを踏んだのです。イラク側はこの様子をビデオに収めることで、アメリカの非道を糾弾ででます。イラク抵抗者にはアメリカの圧倒的な武力で非戦闘民までもが殺され、支配されそうになっている中で、唯一の可能な抵抗だったかもしれません。アメリカのトラックの運転手は立ち止まれば自分が殺されるかもしれなかったのです。信じられないような悲劇があっても、だいたいの場合、どちらにも正しいと信じる論理があるものです。

西洋メディアと異なる中国の言い分

常に西洋のメディアに触れている日本人は、西洋メディアの報じる中国の言論封殺、少数民族の反乱の武力制圧などの強権支配体制を非難します。
新疆ウイグル「純粋な悪魔はいない」:日経ビジネスオンライン

5日、新疆ウイグル自治区ウルムチでウイグル族による暴動が起きた(「7・5」事件)。7日には、ウイグル族の行動に不満と怒りを爆発させた漢族が反撃に 出た(「7・7」事件)。イタリアを訪問中で、G8首脳サミットに出席予定だった胡錦濤国家主席は異例のドタキャンを決断。それはウイグル情勢が「民族対立」の様相を呈したからにほかならない。
しかし、中国側には中国側の言い分があったりします。このエントリでは友人の中国人が中国を擁護していたときの論理を紹介しようと思います。議論は完全に友好的な雰囲気で行われていました。フランス人は中国人が気分を害さなかったか気にかけていて、中国人は意見を披露する場を得たことを感謝していました。 まず、彼の言い分は、「欧米メディアは大国化する中国が分裂することを願っている中国の敵」、「ウイグル族による暴動は単なる反社会的行為で、欧米メディアが特別に騒ぎ立てているだけ」という中国当局の言い分を踏襲したものでした。

バラバラの中国の苦難

これだけだと政府のプロパガンダや政府系メディアに踊らされている人のようですが、彼の中に大きい中国が中国国民の利益という確固とした信念みたいなものがあったのです。まず、彼は中国が一つにまとまらないことで分割支配され、苦境に陥ったことを丁寧に説明しました。
1938年以降、中国大陸では、日本の支援を受けた汪兆銘政権、アメリカとイギリスが支援する国民政府、ソ連が支援する共産党による三つ巴の戦闘が展開されるようになっていた中華民国の歴史 - Wikipedia)”
また、彼は同じような例はヨーロッパでも見ることができると説明します。ドイツはフランスなどより遅れて統一されたため、バラバラになっていた時には苦難の連続でした。統一されたドイツは強国と伍していく実力を得たという見方です(ドイツ統一 - Wikipedia)。

さらに、中国が分割するようなことがあれば、多くの国に分かれて各々が国益を追求しあって対立した、第一次世界大戦前夜のヨーロッパのようになってしまうということも言っていました。

食い違う言い分

1. アメリカ、ソ連、日本に分割支配された歴史、2. 統一後のドイツの歩み、3. 第一次世界大戦前夜のヨーロッパと、どれも統一の中国が中国国民を利益するという例です。だから、中国をバラバラにするような活動は政府として全力で潰すのが中国国民のために必要だと言う結論が導かれます。また、中国をバラバラにするような活動は外国の勢力が力を貸しているという、陰謀論も素直に聞ける土壌が出来上がります。どれも政府の強権支配を正当化するプロパガンダだと言うことは簡単ですが、本気で中国が歴史から大きい中国が国民の利益ということを学んでいても少しも不思議ではありません。この解釈は、ずいぶんと中国の人口の90パーセントを占める漢民族に都合の良い解釈で、他の56少数民族はどう考えているか気になります。

西洋メディアは中国の人権蹂躙には厳しい態度ですが、中国から見ると別の見方があることが分かります。中国側の言い分はただの屁理屈ではなく、論理は通っています。言い分が食い違ってもどちらかが正しいなんてことは言い切れないものです。西洋メディアの中にも中国の言い分にも耳を貸したものがあるのでしょうか?中国の言い分も知っておく必要があります。

1 comments:

匿名 さんのコメント...

中国人には、個人の政治的自由がありません。日本人やフランス人に保障されている自由、平等がまったくありません。西洋人が問題にしているのはここであり、中国の歴史などどうでもいいのです。私は大きい中国が中国人のためにはなっているとは思えません。暴力を思いっきり使わねば統治できない国家というものがあらゆる視点から見て善のはずのわけありません。この点で、中国人の意見に耳を傾ける必要は無いんです。
そして、中国が清帝国の版図を維持しようとすれば、自由、平等は達成できません。多種の民族からなる中国で、自由、公正な選挙を実施すれば、それぞれの地域で、独立を主張する政党が第一党となり、チベットとウイグルは独立してしまうでしょう。台湾も同様です。
ソ連の領土を維持できず、さらに未だにチェチェンなどのカフカス問題、人口が減り続ける極東問題など、完全に西洋化してしまったら、国家が分解してしまうでしょう。ロシアがイマイチ西洋っぽくないのと中国が日本のようになれないのも同じ理由です。

現在の中国共産党はもはや、イデオロギー的主柱を失い、ただ、権力を維持したいだけなのではないでしょうか。
ロシア人は共産主義がうまくワークしない理論だと気がついたとき、スパッとやめました。しかし、中国人はどうでしょう?本家がやめてしまったのに、いつまで頑張るのでしょうかね。

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