2009年7月12日

日本はロボットで少子化問題を解決しようと思っている


Paris, France
日本はロボットで少子化問題を解決しようと思っているというのは、フランスのメディアでもたまに触れられることです。日本と言えば、漫画・アニメ・ロボットだと思っているフランス人の日本に対するステレオタイプと、少子化問題が安易にくっついた無知な意見か、冗談だと思ってました。最近複数の日本通がこの話を真面目に話していたので、ちょっと紹介します。ちなみに話を聞いた2人はロボット工学科の研究員です。

フランス人の考える日本人のステレオタイプ

まず、日本とロボットはかなり密接なつながりで語られることが頻繁にあります。つまり日本にはロボットを受け入れる素地があると言う事です。以下が日本と西洋のロボットに対する捉え方の違いです。

日本はロボットとマンガの国である(Le Japon)
西洋では創造主が人間を作ったように、人間がロボットを作るということが受け入れがたいことであるそうです。それに引き換え、日本ではおおらかにロボットを制作すると説明されています。平然と(sans complexe)、遊び心で(ludique)、超然と(détaché)、恐れなしに(sans cette peur)と説明されます。
フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)
・トヨタやホンダ等のロボットへの投資
・欧州はキリストの一神教で、人間のみ神につくられた考え、仏ではロボットを否定的に捉えがち(雇用も減るし)であるが、日本は多神教の国で虫や物まで魂が宿るとかんがえるから、日本人はロボットが人間を代替しても悪いことをしているという罪悪感がない。

ロボットを用いた少子化対策

ロボットを受け入れる国と言う日本のステレオタイプと、現在日本が直面している少子化という問題が安易に結びついた(ように見える)説明です。

フランス人から見た日本特集『Un oeil sur la planète: Japon : le reveil du sumo ?』(2/2)
人口は減る、高年齢で労働者がいなくなる、でも移民は嫌い、このような日本は、これからどのように乗り切るのであろう?高年齢者採用か?あるいは方針変えて移民歓迎か?ロボットが代替するか?もしくは、奇跡的な国家戦略が今後生まれるのだろうか?
人間の仕事をロボットにやらせると言っても、そうは簡単じゃないと思うのです。コンビニのバイトをロボットにやらせることにしたとしても、弁当、飲み物、チューインガムをつかんで、バーコードで読み取り、お金を受け取ってお釣りを渡す動作だけ考えても、相当困難そうです。さらに、客の情報を入力し、客の要望を聞くところまで入れるとさらに複雑になり、仕入れた商品を棚に移す作業や整理する作業もあります。いくら日本人がロボットを受け入れる素地をもっているとしても、ロボットにコンビに流通のトラックを運転させたくはありません。ちょっと考えただけでも、難しいと分かるだろうと言いたくなります。上の引用は、しょせん他人の国の問題として深く考えていないといわざるを得ません。

それでも日本はロボットで少子化問題を解決すると言い張るのです。それは、移民を受け入れることに対する抵抗が根拠でした。日本人は移民を受け入れるくらいなら、10倍高価でもロボットを選ぶと言っていました。そしてロボットをいち早く産業化して、輸出し出すのはそんなに先のことじゃないというのです。これは、どうなんでしょう。10倍高価でも移民よりロボットを選ぶというのは現時点ではほとんど正しいといえるかもしれません。この時代の日本人の考え方が大きく変化していくこともありえるので、なんとも言えません。

フランス人は本気でそう思ってるのか

やはりフランス人に取っては、遠い国の遠い未来の話だと思って、細かい想像力が働いていないように感じます。ロボット工学を研究していて、日本通であっても日本人のマインドや現在の日本の空気みたいなものを感じるのは非常に難しいからです。それでも彼らはフランス人が考えもしないようなことを、日本人がやらかす期待みたいなものを持っていると思います。

例えば、資源の無いアジアの国が敗戦後に復興した例や、主立った産業が無かった明治期の日本が大国になっていく過程などを思い出しているのかもしれません。アメリカでもドイツでも関税で自国の産業を守りつつ産業大国になったのに、明治期の日本は、産業も無く列強に関税の自主権を封じられていました。普通なら関税障壁なしに列強の製品が流れ込んで産業が壊滅するはずでした。どうやって劣勢を跳ね返して大国の仲間入りができたのか分からないほどの奇跡に近いことのように思います。

”フランス人が考えもしないようなことを、日本人がやらかす期待みたいなもの”が正しいかは分かりませんが、それぐらいの奇跡に近いようなことが僕が生きているうちにも起こらないとは誰にも言えません。”専門家「少子化対策はもう間に合わない」痛いニュース(ノ∀`))”とか、”国を挙げて子育て支援をするか、労働市場をフレキシブルにし移民を受け入れるか、このどちらかを行わずに少子化を食い止めた先進国は歴史上に存在しない世界級ライフスタイルのつくり方 - さらに少子化を考える)”と言われていますが、日本が今後どんな解法を見つけていくのか、楽しみな気もします。

付け足し
”フランス人が考えもしないようなことを、日本人がやらかす期待みたいなもの”関連では、フランス語で爆弾テロのことをkamikazeと言ったりします。”普段はおとなしくて勤勉なのに、キレると何をしだすか分からないとクレイジーなやつと思われているかも知れません”→フランス語”Kamikaze”について考える

2 comments:

匿名 さんのコメント...

自動化について言えば、それは単に合理化と効率化の一環ですよね。それに日本人には「労働の中に喜びを見出す」という類の人も結構いるらしく、自動化が可能なつまらない仕事は人間がすべき仕事ではないという考えもあるのではないでしょうか。

随分昔のことですが、ある米国の著名なロボット工学者が、米国人が持つ「ロボットに仕事を奪われることを恐れる」傾向のため、ロボット産業にあまり投資が向かわないと言い、このままでは日本人どもに産業を乗っ取られると不満を漏らしていました。

ロボットの有用性は、人間に代わる労働力というよりはむしろ、人間を向かわせるには危険な場所(宇宙空間や深海など)での作業にあるのではないでしょうか?私は専門化ではないので分かりませんが…

Madeleine Sophie さんのコメント...

> ロボットの有用性は、人間に代わる労働力というよりはむしろ、人間を向かわせるには危険な場所(宇宙空間や深海など)での作業にあるのではないでしょうか?私は専門化ではないので分かりませんが…
ロボットが仕事を効率化してしまうと、失業が増えるというのは確かにそうです。しかし日本の場合は、急激な少子高齢化により、仕事にたいして人間が足らなくなる可能性があります。ロボットにできる仕事はロボットに任せるというアプローチもありなように感じています。日本人はロボットを受け入れる土壌があると思うからです。

もちろん一方では人間ができない仕事をやらせるという用法もあると思います。

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