2009年5月4日

海外に出た方がいいと説得する方法


Lyon, France
日本はもうダメだ論と日本の優秀な人材」と「日本をもっとダメな国だと思い危機感を煽りましょう」で、「日本はもう立ち直れない」 だから「海外で働こう」という分析についての考えを書いてきました。元となる記事は大きな注目を集めたようで、J-CASTニュースに掲載され、ヤフーニュースへ転載されていました。多くの人がこの話題に関心をもって、意見を表明しているのは興味深いです→J-CASTニュース : 「日本はもう立ち直れない」 だから「海外で働こう」に賛否両論

現在日本の状況が過去と比べて悪いわけではないという根拠から、「日本はもうダメだ論」には反論を加えてきました。交通網、通信網、流通網、水道設備などが整備され、真面目で優秀な人材が周りにいる状況で、もうダメだと言われても甘えにしか聞こえないんですよね。フランスにはヨーロッパ諸国や旧植民地から優秀な学生がやってきますが、日本より上に挙げた物に恵まれている国はないです。しかし、日本はもうダメだ論には反論を加えてきましたが、結論はすごく共感しました。

人に海外に出た方が良いよと説得する場合に、2つの基準があるように思います。1)北風か太陽か、2)マクロかミクロかです。1は北風のように日本はダメだと脅して海外に飛び出させるか、太陽のように海外にはいいことがたくさんあるよ〜と本人をその気にさせるかです。2は日本を取り巻く経済状況は社会の趨勢をマクロに解説するか、個人的体験談や読者の将来の予測などをミクロに解説するかです。海外に出るのを説得するのに、1) 太陽/北風、2)マクロ/ミクロの視点から分類すると、4パターンの説得方法があることが分かります。
  1. マクロ視点(社会趨勢)から海外に出た方が未来が明るいとその気にさせる太陽
  2. ミクロ視点(個人的体験)から海外に出た方が未来が明るいとその気にさせる太陽
  3. マクロ視点(社会趨勢)から日本はダメだと脅す北風
  4. ミクロ視点(個人的体験)から日本にいるとヤバいと脅す北風
渡辺さんは2の太陽のように海外で働く良さをミクロ(個人的体験)で解説してきたのを、3のマクロ(経済状況、社会趨勢)の悪化を予測する脅しのような北風で説得するように戦略を変えたように見えます。
On Off and Beyond: 海外で勉強して働こう

これまでずっとなるべく言わないようにしていたのだが、もう平たく/明快に言うことにしました。
1)日本はもう立ち直れないと思う。
だから、
2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい。

これまでは、1)は言わずに、2)だけ言ってきた。
海外に出てみるという結論は良い選択肢だと思うので、説得の手段を尽くしている渡辺さんは熱い人だと思いますね。これだけ説得しても、日本人の海外進出は遅れているという意識があって説得方法を変更されたんだと思います。世界級ライフスタイルのつくり方 - 個人が国家を選ぶ時代で掲載されていた2000年頃の国際流動のデータでは日本がかなり国際流動が少ない国だということが分かります。

国際流動は今後、加速していくことは間違いないので、現在26歳の僕がいくらかの部下を持つぐらいの年代に入った頃には、日本で働くにせよ、海外で働くにせよ、いろいろな国々を体験した人々の混成チームで働くことになるはずです。そういったときに自分だけに海外経験が欠如していたら、彼らの信頼のおける上司なれるのか考えてしまいます。おそらく能力+多文化への許容性といったことが評価されると思うのです(ミクロ、北風)。

このブログにはいろいろと、ミクロ、マクロに留学の利点を解説したエントリを書いてきたので、興味がある方はぜひ。全体的に太陽的視点が多いと思います→「[まとめ] フランス留学のススメ」。現在、日本人が海外に出ない傾向については、選択次第で海外に行ける状況にある人(学生、社会人)は他人と違った能力を開発するチャンスだと思います。以下はフランスからの視点ですが、海外のどこでも同じような状況だと思います。
フランスの日々: なぜフランスに留学するのか:不足するEU人員
ある地域において不足している人員ほど、その需要的な価値が高いと考えられます。ヨーロッパのマーケットに注目する日本企業にとっては、フランスで学んだ 学生を重宝することは明らかです。これは、フランスにおいても同じです。フランスでは、日本からの人材は決定的に不足していて、日本人の博士課程の学生が フランスに赴くことは、そ の希少価値から重宝されることが請け合いです。
海外に出たくても出られない人(仕事、年齢、家庭環境、経済状況、病気など)には、説得がどんなに説得力があっても苦々しいだけだと思います。それでも、正しい説得には耳を貸して納得できたら、自身や親戚の子供や親しい友人に、海外への渡航を薦めてあげるのが、いいのではないでしょうか。

最後に「日本はもうダメだ論と日本の優秀な人材」と「日本をもっとダメな国だと思い危機感を煽りましょう」のエントリでは日本はまだ大丈夫とか言ってましたが、海外渡航の説得の方法としては最悪でしたね。日本は大丈夫だのあとに、「だから」をつなげると次の行動への示唆が出てこないからです。

2 comments:

la dolce vita さんのコメント...

引用ありがとうございました〜

フランス=老人、アメリカ=青年は言い得て妙ですね。
ヨーロッパ=老人、とも言えるかも。 その中でも言語を同じくするイギリスはアメリカの影響がもろに入ってくるので、振り回されてますが。

ヨーロッパがもう少し一枚岩になれば、老人の言うことを青年がちょっとは聞くようになるのでしょうが、多様性がヨーロッパの強さでもあるので、そうなってほしくない気もします。

Madeleine Sophie さんのコメント...

la dolce vitaさん、

興味深くブログを拝見させていただいてて、何度か引用させていただいています。フランスでMBAを取得されたのですね。僕も小学生の頃に5年間ほどクアラルンプールにいたので、シンガポールには5,6回行ったことがあります。僕のいた15年前よりももっとエキサイティングな国になっているんでしょうね。引き続き興味深く拝見させていただこうと思います。

フランスの状況というのは日本では分かりにくいことも多いともうので、うまい例え話があると分かりやすいと思うんですよね。日本から見るとイギリスとフランスは同じヨーロッパですが、イギリスは大陸の方から見るとかなり違う感じですよね。イギリスは通貨も違うし、EUともある程度の距離をおいているように見えます。多様性がヨーロッパの良いところというのは同意です。面白い地域です。

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