2009年5月2日

日本をもっとダメな国だと思い危機感を煽りましょう


Paris, France
日本はもうダメだ論と日本の優秀な人材」で書いた日本はピンチになると救世主が現れる的な物語を頭から信じているノーテンキな人だと思われそうなので少し補足しようと思います。まずとびっきり楽観的なシナリオを描いたのは、「On Off and Beyond: 海外で勉強して働こう」で描かれていた、荒唐無稽な”日本はもう立ち直れないと思う”という予測に違和感を感じたからです。それらよりも現実味がある反対側のシナリオに突っ走ってみて極論との均衡を保とうと考えました。「海外で勉強して働こう」で言うところのベストケースです。もう一度明治維新が起こったり、日露戦争に勝利したりすると確信しているわけではないことを指摘しておきます。

ただし日本が本気になったときは恐ろしいほどの力があるというのは、けっこう本気で思っています。「日本はもうダメだ論と日本の優秀な人材」で書いたところの、”日本自体が植民地化の危機に立たされた時のように危機を脱出する方向に全員が行動するイメージ”が、それに当たります。下のブログで、述べられている”怪物”というのも、それに当たるのではないかと推測します。

404 Blog Not Found:日本に留まりたかったら、一度は留学しておくべき
外から日本を見たことがある人だけが、日本という「怪物」との間合いの取り方を身につけているように見受けられるのだ。
この怪物が暴走すると、とてつもない力を引き出してしまいます。例えば、植民地化されかける危機から他国を植民地化するほどの力をたった35年で付けたり、敗戦で壊滅した産業を復興して25年で国民総生産で世界第二位になったりします。しかもその爆発は制御が不可能なのではないかというほど、困った方向にも起こりえます。例えば、世界最強コンビの米英に同時に宣戦布告したり、神風特攻隊を編成して常用するようになったり...(最強コンビに対して四年間も戦線を維持し、最初の二年間は戦局を優位に進めた事例にも怪物のパワーの恐ろしさが見えます)。さらに、怪物は暴走した時だけパワフルなのではなく、ちょっと動いただけでも酔っぱらいの人生や、飲酒した未成年の人生を、はたまたIT長者の人生を一瞬にして終わらせたりします。構成員が真面目で一つのことに徹底集中する性格なので、怪物は一度動いてしまうと誰も途中で止められません。

外から日本を見たことがある人だけが、日本という「怪物」との間合いの取り方を身につけているように見受けられる”と聞いて思い出すのは、太平洋戦争中にこの怪物を誰よりも冷静に見ていた吉田茂や白洲次郎などのイギリス在住経験のあった人たちです。吉田茂は太平洋戦争が始まる前に外務省を退官し、白洲次郎は徴兵を忌避し田舎の武相荘で隠棲していたそうです。両者とも日本の行く末を危惧しながら、表立った反戦活動から手を引いています(“よしだはんせん”に因むヨハンセン・グループとか)。怪物の力の大きさを見抜き、怪物が動きを止めるまで個人の力ではどうにもならないことを知っていたように思います。

ここでもう一度「海外で勉強して働こう」の”日本はもう立ち直れない”の真意について推測してみると、今は寝ている怪物=日本を良い方向で起動させたいという意図が見える気がします。衝撃的な未来予測は対怪物用の目覚ましの爆竹だったような気がします。だとすると、「日本はピンチになると救世主が現れる的な楽観的予測」は爆竹の音を弱めるだけだったかもしれません。怪物の構成員が爆竹の音に驚いて大量に海外に飛び出すようになったら、日本を良くする力になるかも知れないと思います。実際に、渡辺千賀さんのブログには前の記事のフォローアップ記事がアップロードされていました。
On Off and Beyond: 国や組織はどういう時に良くなるか
たくさんの人が海外に出れば、その中のある割合の人たちは日本に帰るだろうし、ある割合の人は、行った国と日本をつなぐ仕事をする。全然日本と関係ない仕 事をする人でも、何らかの形で日本とその国とのコミュニケーションの助けになるかもしれないもしれない。ということで、「数の勝負」で、そういう人がたくさん出ることで、日本の将来の担い手になったり、日本の国際社会からの孤立を救うことになるでしょう、と。
僕は楽観的な予測を書いていますが、日本がこのままずっと悪いまま沈んでいくという予測も考えたりします。同じ記事で、国が悪くなると悪循環で、かなり長期にわたって衰退していくという意見も説得力があります。
「国というのは、思いがけなくどこまでも悪くなっていけるものなのだ」といろいろな国を例に挙げて説明されてはっと気づいた次第。国の場合、競合に買収されたり、国民を全員解雇(追放?)して解散したりできないこともあり、会社組織の比でなく、何十年、何百年と悪化の道をたどれるのであった。
しかし、フォローアップ記事に書かれている悲観的予測もかなり異議ありなので少し反論を書いておきます。
ちなみに、日本の一人当たり国民総生産(GDP)は1993年に2位、2000年でも3位だったが、2007−8年ではIMF調べだと22位、(World Bank 23位、CIA25位)。このまま等差数列で落ちて20年後に60位くらいまで行くと、ふむ、今60位前後はルーマニアとかロシアとかメキシコとか・・・。
と、ありますが、去年の夏は1ユーロ=170円を超えていて、僕がこちらでもらっている給与でも日本円に換算すると胸を張れたんですよね。現在は1ユーロ130円(25%減)で推移していて、2001年には100円(40%減)を下回っていたんですよね。2007-8年は欧州の国々が大量ランクインして当然だったと思います。購買平価ベースでは現在3位なのは"20年続いたデフレという大いに物悲しい現象の結果"というのも一理はありますが、短期のトレンドに左右される為替レートよりは、実際の状況を反映していると思います。そしてその短期のトレンドを20年間も等差数列するのは、ちょっと、あまりにも無茶です....。それともう一つ、世界のGDPはかなり不平等に上位に固まっているので、1から20に落ちるのは簡単ですが、20から60に落ちるのはかなり産業が壊滅しないと無理でしょう(トヨタ、ホンダ、日産、日立、松下、ソニー、ドコモ、KDDIがつぶれ、関連企業も根絶やしになったとしてもまだまだです)。

それでも、僕も楽観的予測で怪物用の爆竹の音量を下げるのはやめましょう。怪物の構成員が爆竹の音に驚いて大量に海外に飛び出し、日本が良くなれば、渡辺さんも僕も、おそらくほとんどの日本人もみんなハッピーになりますよね。煽った方がいい局面かも知れません。どんどん問題提起していただけることを願っています。

「日本=怪物と爆竹」モデルで関連エントリを分類してみるとこんな感じでしょうかね。個人的にはどんな反応が良いとか悪いとか、思っているわけではありません。純粋に興味から分けてみました。念のため。

対怪物用の爆竹を鳴らす人
目が覚めてた人/納得した人
対怪物用の爆竹でも目覚めない人
爆竹の音量を下げようとしている人
追記:
前のエントリが「爆竹の音量を下げようとしている人」だったのを反省して、海外に出た方がいいという説得方法を分析してみました→フランスの日々:海外に出た方がいいと説得する方法

3 comments:

石川 さんのコメント...

海外に脱出した人は、日本の上流階級しか知らないだけでしょ。偏向した知識ほどモンスターになりやすいこともわかっていません。

フランスから帰ってきた友人がいうには、フランスは高い店へ行かない限り美味しいものは外で食べられない。ところが、日本は、300円も出せば立派に美味しいし、店員のサービスも値段以上だと。

日本のいいところは、上流階級にいかなくても幸せな暮らしができるところが、世界の中で珍しいのです。町民文化ですね。それに、フランス人は日本の町民文化が大好きだったりします。

なので、町民でない日本人は、危機意識が強いのでしょうね。それに、町民を見下してているのだと思います。バカですね。世界中は、日本に対して町民であり続けることを求めているのに。それに、欧米の上流階級の人に、いくら日本人が努力しても、上流階級に入ることさえできないでしょう。本人だけが、上流階級のつもりでいるだけで、日本の町民にはなりたくないってわけです。老人になれば、欧米人からも拒絶されるってのがわかっていないのです。ただ、金の関係であって、金を稼がない老人は欧米からは捨てられるだけです。

cruasan さんのコメント...

Madeleine Sophieさん、こんにちは。

「日本=怪物と爆竹」モデルに基つく、大変分かりやすい&素晴らしい分類、ありがとうございました。

ざっと見た感じ「海外脱出」には賛否両論あるようですが、これだけ色んな人が色んな意見を活発に言っているという、それだけで僕には驚きでしたね。その事実が逆に、今の日本の深刻な状況と閉塞感を物語っているかのようです。そんな中において、僕たちのようなリアルタイム海外在住組は一体何が出来るのか?と真剣に考え込んでしまいました。

僕がこの何年かでヨーロッパから学んだ事は「多様性の力」です。僕たちの社会は多様です。多様な考え方の人がたくさん集まって生きているからこそ、色んな意見があり、社会が楽しくなり、生活の質が上がっているのです。

彼らヨーロッパ人はこのような「多様性の力」を歴史から学びました。彼らは自分とは違う意見を「排除」するよりは「如何に組み入れるか」に苦心し、話し合う事でお互いの妥協点を見つけ、多様性を確保してきたんですね。何故ならそれが彼らの生活をよりよくすると言う事を経験から知っているからです。そんな中では、どの意見が正しくて、どの意見が間違っているという区別は無いんですよね。ただ、問題に対する距離のとり方、見方が違う。ただそれだけです。

これは何も色々な国が集まっているヨーロッパに限った事では無くて、日本という小さな島国に限っても言える事だと思うんですね。何てったって1億4000万人も居るんですから!

多分僕達、リアルタイム海外在住組が出来る事は、僕達が異国で感じている事、生活している状況などを情報としてどんどんと出していく事なのでは無いでしょうか?そうする事で、今まで知られていなかった生の情報が蓄積されて、他の人にとっての人生の選択肢が増えると思うんですね。それが僕たち、海外在住組に今出来る、最大の貢献なのだと思います。

いろんな人が居ますから、お互いいろんな事を言われるでしょうが、それは僕たちの世の中が豊穣である(笑)と、プラス思考で行きましょう。

Madeleine Sophie さんのコメント...

石川さん、

友人が旅行された時期が悪かったのかもしれませんね。特に去年の夏などは日本円で給与をもらってヨーロッパに旅行された方は大変だったと思います。あと、フランスでもパリは特別高いんですよね。地方に旅行に行かれると多少違ったかもしれませんね。

上流階級に行かなくとも幸せな暮らしが出来ることの定義は分かりませんが、一般的にフランス人は遊びにお金をお金をかけないような気がします。休日は公園でのんびりしたり、ピクニックしたり、友達を呼んでホームパーティをしたりとお金がかからない過ごし方が人気な気がしますね。カラオケもゲームセンターも無いですが、フランス人はお金をかけなくとも十分に楽しんでいると思いますよ。

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cruasanさん、

海外脱出には本当にいろいろな意見があって、面白いですね。刺激になります。「多様性の力」というのは確かにヨーロッパにいて感じることですね。異質の物を納得できなくとも理解する努力をするんですよね。文字にすると伝わりにくい感覚なので、「とりあえず来てみろよ」という言い方になるのかもしれませんね。それが効果を生まないと、日本にいたら危ないという警告になるのかもしれません。どちらも来てみると新しいことが分かるよーという親切心で言っている気がするんですよね。

[まとめ] フランス留学のススメは、留学にはいい点がいっぱいあるということを伝えたかったから、書いたようなものです。

意見の多様性も喜ばしいことですよね。はてなのコメントも面白いコメントがいっぱいあって興味深いです。お互い今出来ることを常に考えてプラス思考で行きたいですね。

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