まず、「INRIAとはフランス政府研究省および、経済財政産業省が共同管理するフランス国立研究所である。 1979年に、フランスの情報・制御分野の中心となる研究機関として設立された。 フランス国内に8ヶ所の研究施設もち、3000人以上の職員を抱える大規模な研究所(wikipediaより)」です。フランスやヨーロッパはもちろん世界でも評価の高い研究機関です。
「[書評] 高学歴ワーキングプア」では、博士課程を修了した人びとによる悲劇が描かれていましたが、状況説明は全て日本の大学院をターゲットとしていました。一つの解答として、海外のに飛び出して研究員になるという道もあると思います。また、同書では「博士号をさして、「足の裏の米粒」などと揶揄する声も耳にすることが少なくない。その意味は、「とっても食えないが、取らないと気持ちが悪い」だ。(P.188)」と例えられていますが、全ての研究職に博士号が必要とされています。
2008年12月19日からフォームが利用可能になり、2009年2月16日に締め切りです。
- 若手研究員(CR2)
http://www.inria.fr/travailler/opportunites/ chercheurs/concourscr2.en.html
要件:博士号
定員:17人
- 経験を積んだ研究員(CR1)
http://www.inria.fr/travailler/opportunites/ chercheurs/concourscr1.en.html
要件:博士号+2年の研究経験
定員:8人
- 上級研究員(DR2)
http://www.inria.fr/travailler/opportunites/ chercheurs/concoursdr2.en.html
要件:博士号+8年の研究経験
定員:15人
フランスへの研究留学を全てポジティブに書いてきましたが、フランスに渡ってみてうまく行くかどうかは、本当は分かりません。分からない以上、チャレンジすることは運を天に任せる行為になります。現在30歳ぐらいの研究者がその後定年まで30年ぐらい研究を行う際に、フランスで数年過ごす価値はどれぐらいのものなのか。熟考し、他の道と徹底的に比較したのち、どちらかを選びその中で努力する。日本を選んでもフランスを選んでも、その中で運が作用することは同じことです。
7 comments:
こんにちは。初めてやってきました。僕は仕事上でフランス人と話をすることがしばしばありますが、全部英語でします。多少できるフランス語は、ランチを一緒にとるときなどの会話のサカナくらいにしかしません。しかしながら、フランス人・語から得た考え方などは、英国・アメリカ的な考え方へのアンチテーゼのような面をよく含んでいて、事後に別の場面で使えたりします。
なので、フランスに留学すること・・・・イコール、日本および、通常のビジネス上、メインストリームにならない覚悟が必要、というのがリアリティーでは?
背景のわからないままのコメントですみません。
たまーむさん、
確かに日本へ入ってくる海外の情報は英語を通じたものになるので、自然にアメリカやイギリスの視点からの情報になっているように思います。その点フランスはこの2国から程よい距離感があるので、ちがう視点が与えられて物事が立体的に見てくるような気がします。
ビジネスでいうと英語以外の言語は役に立たないので、フランスに留学するのは不利になってしまうのですかね。パリはよくも悪くも他民族都市なので、いろいろな文化の側面を知ることが出来て、卒業してからもビジネスでも役立てることが出来ると思います。さらにEUという視点で見ると、経済活動の規模はアメリカを上回っているそうです。日本語+英語圏+1の文化に触れる意義は以外と大きいと感じます。
さらに、研究の論文は全て英語で書かれるために、自分でそれらの情報を摂取すれば研究水準はそれほど変わらないです。まわりに優秀な人がいて刺激が受けられる場所が良いと言えるかも知れません。
チームの構成員が皆同じ能力を持っていることが重視された時代が終わり、チームの中で他人と異なった能力を持つものが重宝される時代が来ることを思うと、他人がメインストリームだと思っていることと違うことを学ぶことが、重宝されるスキルを磨くことに繋がるのかも知れませんね。
ぶしつけな質問にもかかわらず、とても丁寧なコメントをありがとうございました。基本的に言っておられることは全く正しいものと思います。
ただ、EUの経済規模をこの文脈で出すのはバイアスを感じなくもありません。日本から貿易取引をする場合、英語使用の対米・対アジアが通常はメインとなります。残る対欧州取引においても英語以外が使用されるケースは極めて限られ、フランス語を見るのはどうひいき目に見ても1/100もありません。これが仕事と求人の量になるともっと差が拡大し、今後も縮まることはないように思えます。
留学先できちんと研鑽された方がしっかりとした成果をあげられるのは当然のことです。しかし、英語圏留学では、きちんと研鑽しなくても対アジア取引などの仕事にちょっとはできるようになった英語をいかせたりする一方、フランス留学の場合には、そうした機会は非常に限られ、そういう意味で留学前にしっかりとした覚悟が必要、というように感じる次第です。
たまーむさん、こちらこそ、コメントありがとうございます。
確かに今見返すと経済規模のくだりは、少しバイアスがかかって聞こえる気もします。実はEUの経済規模がアメリカを上回っているから、日本にとってEUの方が重要だと言うようなことを意図していませんでした。アメリカが最重要で、中国、ヨーロッパはその次という構図はすぐには変わらないと思います。
マーケティングが地域ごとの経済規模に着目するのは、その地域で通貨、法律、文化、消費者の指向、言語、が似通っていて、広告などのターゲットをしやすいからですよね。EUでは言語や消費者の指向などは統一されていませんが、アメリカにおいても州ごとに法律や消費者の指向が違ったりします。やはりEUは単一通貨の巨大な経済圏で、欧州をターゲットとする企業は欧州の知識を持つ人材を必要とすると考えています。
また、フランスでも英語が必須です。英語をしゃべらないと研究者としては(多分その他のビジネスでも)存在しないのと同じです。英語圏へ行っても、その他に行っても英語が必要条件なのであれば、文化の多様性を受け入れる心を作るためにも、非英語圏の文化を知ると言うという選択肢も悪くないかと思っています。留学先で見ると米英の英語圏に100人の留学生を送るのではなくて、そのうち少なくとも5人ぐらいは欧州に送っても良いのではないかと考えるくらいですね。最近よくいわれるダイバーシティということかも知れません。
なるほど。フランスに留学していてさえも研究では英語が必須なのですね。
英語をしゃべれることがある程度前提条件であり、その他方で、「日本語+英語圏+1の文化に触れる意義」が「他人と異なる能力」や「ダイバーシティ」の観点から有意義である・・・・全く賛同です。
ところで、せっかくなのでMadeleineさんにこのフレームワークを前提に次の2点についてどう考えていらっしゃるのかお聞きしたいです。
1.前提条件の充実とダイバーシティとはどちらを優先すべきか
2.+1をどこの国にするのかは何でどうやって決めるべきか?
えてしてフランスびいきな方の主張は
-1に関連して、英語必須のリアリティーを認めずに、英語対フランス語の直接比較をしたがる
-2に関連して、そもそも正解がない問いであるにもかかわらずフランスが良いと結論する、
というような、あまりロジカルでない主張が見られることが多く、これが理由で、非フランス派(?)の一般的な日本人からよく理解を得られないように思うからです。
まぁ、そもそもこのコメント欄はこんな話をするところではないのかもしれませんので、そろそろ適当にしてもらってかまいませんが・・・。
たまーむさん、
1の前提条件の英語はもちろん不自由がないようにしないといけません。不自由があるうちは、英語の上達に全力を挙げるべきでしょうね。不自由がなくなれば、多くの職業ではネイティブ並みになる必要はないと思います。英語は誰もができる能力なので、ほかの言語や文化を知ることが、他人との差別化になると考えられます。
2のどの言語を選ぶべきかという問いですが、やはり環境によると考えられます。僕は8年ほど前から第二外国語として中国語を3年間学習し、上海に留学したりしました。つまり、中国語が一番有用ではないかと思っていました。メーカーなどに就職すれば中国語の能力が役に立つかもしれないと思ったからです。
また、別の見方をすれば、英語で一面的な情報しか入ってこない地域をカバーするためにアラブ世界で利用される言語も面白いと思っています。経済的に台頭する南米や、北米においても使われるスペイン語も有望ではないかと思います。EUを主導すると自他ともに認めるフランスの言語と文化を学ぶには、フランス語は面白い選択だと思います。また、新世紀のアフリカの発展を期待する人々にとっては、フランス語は必須といえるでしょう。
結局は、その人の環境と考え方によるとしかいえませんでしたが、言語影響力をエントリにしたものがありますので、ぜひご覧ください→「フランス語の国際的地位」
Madeleineさん
いろいろと根ほり葉ほりお聞きしてしまいましたが、丁寧なお答えをいただきまして、どうもありがとうございました。
今後のブログの中で、上海留学との比較などをお聞きできればうれしく思います。
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