2008年11月19日

フランス人の政治議論


Nice, France
僕が渡仏したのはサルコジ大統領が誕生した週でした。日本とフランスに住んでいるフランス人のどちらからも意見を聞けました。日本の投票では、自分が投票した候補者を他人に言う人はほとんどいないので、誰がどの候補者を支持しているかは分かりにくいと思います。フランス人も、誰も自分の意中の候補者を明言した人はいませんでしたが、意見を聞いているとすぐに意中の候補者が分かりました。

渡仏してフランス大統領選後に政治の話題になったとき、韓国人が無邪気に「君は誰に投票したの?」と聞いていたのは驚きでした。韓国人は他人に意中の候補者を語ったりするのでしょうか。対するフランス人は、「投票した候補者は言わないよ...うちの職場は社会主義支持者(Socialiste)が多いけど、僕は逆に右側の方がいいと思うな。」と言っていました。やはり意中の候補者は明言しませんでしたが、言わないと言った直後に投票したであろう候補者がわかります。驚きなのは、職場のみんなの支持の傾向まで分かっているところです。自由(=右)寄りか平等(=左)寄りによって対立候補が2人になる決選投票では、議論すれば意中の候補者がすぐに分かります。

サルコジ候補のモットーは「もっと働き、もっと稼ごう」で、ロワイヤル候補は一言で言うと「フランスは十分豊かなんだからもっと底辺の市民の悲惨な状況を救っていこう」といういう感じでした。選挙前、日本で聞いた意見としてはサルコジ支持の人は「ロワイヤルは勝てそうにないので、夢物語を語りだした」と言っていて、ロワイヤル支持の人は「サルコジが大統領になっているうちはフランスに帰らない」と言っていました。どちらも反対の候補になるのがイヤという側面があるようです。僕はフランスの選挙権はありませんが、サルコジ氏の方がフランスにとってよいのではないかと考えていました。フランスは先進国とはいえ、経済規模は日本の半分ほどで、アジアと南米の新興国の台頭のなかで経済の競争力を保っていけるかどうか疑問だったからです。

しかし選挙後、ロワイヤル候補支持だった人のの考え方を聞いて、左派の考え方も非常に的を得ていると感銘を受けました。サルコジ氏の言うように自由主義的に経済活動を最大限に追求していくことの問題点を指摘していました。エネルギー資源、環境資源、人的資源などなど全ての資源をつぎ込んで、みんなが経済的利益を追求しても、限界があります。エネルギー資源は言うまでもなく有限で、経済活動による環境汚染の問題もあります。人の活力や時間などを含む人的資源にも限りがあります。例えば、低賃金でコンビニで学生を働かせれば経済的利益を得ることは出来ますが、学生の将来に役立つ勉強時間、家族団らんの時間、人生を豊かにするための時間を奪って犠牲にしていると考えられます。こういった資本家が好き放題できる環境を制限していくことが必要だという主張には、世界全体の幸福という視点を導入すると一理あります。

問題は、フランス一国が経済活動を制限してしまうとフランスの国際的競争力が失われ、フランス一国だけが貧しくなってしまうことです。ロワイヤル候補は各国と協調してこの制限の枠組みを作っていくことを主張していたそうです。たしかに実現困難だとは感じますが、実現すれば現在の資本主義の暴走状態を緩和できるのかも知れません。

2 comments:

花園 祐 さんのコメント...

 これから「失われた十年」の連載で書きますが、日本では左翼政党がここ十数年で大幅に失墜したため、私やSophieさんの世代では左翼というだけで、政策内容も問わずにものすごい拒否感を持つ人間が多いように思います。まぁ日本の左翼政党は主張する政策も対したことないけど。

 私として一時は熱烈な右派支持者でしたが、人間変われば変わるもんですし、以前の私の記事でも書きましたが今じゃ変則的な立場だと主張するに至ってます。知らず知らずのうちに中華思想に取り込まれたのかな。

 前にコメント欄で年末に日本に帰るというようなことをおっしゃられていましたが、私は今関東に住んでいるので、もし関東に来ることがあれば是非一声おかけください。

Madeleine Sophie さんのコメント...

そうですね。右翼と左翼に関しても書きたいのですが、神経を使うので、なかなか出来てません。今の学生の世代とかは右翼傾向が出てきているのは否めませんね。1世代前だと学生は左翼傾向を持たなければダメと言うような感じでしたからね。

フランスは左翼が強いですからね。サルコジ大統領でさえも、日本に来たら左翼的傾向だと言えると思います。左翼右翼も相対的なものですからね。

年末に帰る時にはそちらのブログフォームでメール連絡しますね。

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