2008年10月25日

[書評] 非属の才能

非属の才能 (光文社新書 328)
『Bバージン』や『ゼブラーマン』で有名な漫画家、山田玲司氏による「みんなと同じはもうやめよう」という本です。 どこかに属さなければいけないと思いがちになる日本社会で、属さなくても良いと言ってくれる(属さない方が良い)本書は心地よく響くはずです。漫画家である著者は、おそらくいろいろなところで普通じゃなくて、属さない人です。そこでつらくなった時にどうしていたかというと、自分の中で勝手に尊敬する人の声を聞くそうです。
僕はと言えば、ずっと手塚治虫に私淑していた。まわりの漫画好きが「山田の絵はデッサンが滅茶苦茶だ」などと僕の漫画を罵っても全然へっちゃらだった。手塚先生は「漫画は発想が第一」であり、多少のデッサン狂いなどは気にしない人だったからだ。「これはこれでおもしろいですよ」手塚先生ならそう言うだろうと、僕は心の中で勝手に漫画の神様の声を聞いていたのである。(p.44)
なかなかユニークで独善に陥る危険さえ回避できれば効果的かなと思います。また、古今東西のスーパースターがいろいろ取り上げられているのですが、どれも属さない人達です。本書では天才と言われる人達が天才という近寄ることも不可能な特別枠にいるわけではなくて、その分かれ目はもっと曖昧なものだと主張しています。
ここで一つ重要な思い違いがあると思うのは、はたして人間には天才と凡人の二種類しかいないのか?という点についてだ。...(略)...「天才とまではいかなくとも、凡人とまでもいかない」クリエーターと呼ばれる人ですら、そんな人がほとんどなのだ。(p65-p.64)
その通りなのかもしれません。人が誰でも持っている、人と違った何かを信じてコツコツそれを磨いて来た人達が、他の人達から天才と呼ばれて特別視されているのかもしれません。

本書では、同調しないことの利点を強調していますが、協調は必要だとも述べています。群れに属さない決意を持った人が陥る危険な罠についても述べられています。これは有効な指摘だと感じました。
[自分病その1]「私は変わってるんです」病 (p.212)
[自分病その2]「自分はいつも正しい」病 (p.214)
[自分病その3]「メジャーだからダメ」病 (P.216)
[自分病その4]「俺は偉い」病 (P.218)
最後に、ちょっと行き過ぎているなと感じたところです。
整理整頓はアイデアの敵だ。(p.114)
特にテレビは一切見る必要はない。(P.186)
もちろん、インターネットも絶対につないではいけない。(P.187)
自分の中の感性を重視するとはいえ、インターネット上の他人の知恵と知識をまったく頼りにしない生き方は、おそらく多くの人にとっては害になるのではないでしょうか。
非属の才能 (光文社新書 328)
山田 玲司 (著)

第1章 誰のなかにも「プチ佳祐」がいる
第2章 ブルース・リーになる試験はない
第3章 定置網にかかった人生でいいのか?
第4章 「変わり者」が群れを動かす
第5章 非属の扉をこじ開ける方法
第6章 独創性は孤立が作る
第7章 和をもって属さず

 ”「みんなと同じ」が求められるこの国で、
「みんなと違う」自分らしい人生を送る方法はあるのか?
右肩上がりの経済成長が終わり、群れることで幸せを感じられる「恵まれた時代」が過ぎ去った今、なにより必要なのは、未来を担う才能ある人間が、その才能をいかんなく発揮できる環境作りであり、マインド作りだ。ところがいまだにこの社会では、出る杭は打たれ、はみ出し者はいじめられる。横並びが一番重視され、斬新な発想や強烈な個性は「群れのルール」に従って矯正、または無視されてしまう。才能ある人間が生きづらい国——それがニッポンだ。もはや今の時代、みんなと同じ必要はまったくない。むしろ、違えば違うほどいい。人はそれぞれだ。各個人が自分の道を自由にゆけばいい。「非属」であること——これこそが新しい時代のスタンダードだ。”

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