2008年10月7日

「サムライの復讐」=金融危機で仏紙


Paris, France
ル・モンド紙の「サムライの復讐」と題された社説が時事通信で紹介されヤフーニュースのヘッドラインにも掲載されました。社説の要約のような記事でしたが、全文を転載します。
「サムライの復讐」始まる=日本の復活、欧米に希望−金融危機で仏紙
10月7日6時36分配信 時事通信

 【パリ6日時事】欧米で金融危機が広がる中、日本企業が米金融機関などの買収・投資に乗り出していることについて、6日付仏紙ルモンドは「サムライの復讐(ふくしゅう)」と題する論文を掲載し、「日本は失われた10年から復活した。巨大なバブル崩壊からも立ち直ることができる証しであり、欧米にも希望を抱かせる」と論じた。
 同紙は「世界でほぼ唯一『サブプライムの毒』を味わわなかったのが日本の銀行だ」と評価。背景には日本が1990年代のバブル崩壊のトラウマ(精神的外傷)を克服できず、リスクの高い投資を慎んだことがあると解説した。
 さらに、最近は中国の経済的奇跡ばかりがもてはやされ、日本は目立たないが、「日本のロボット工学は世界一。研究開発関連予算は国内総生産(GDP)3.3%にも上る」と指摘。「日本の復活を誰も気にしていないが、侮ってはならない」としている。
原文は3日前の2008年10月4日にル・モンド紙に掲載されていて、ウェブサイトでも見られます→La revanche du samouraï - Le Monde.fr。邦題と仏題を見た時に受ける印象の差として、復讐=revancheという語感の差があります。日本語で復讐と言うと怨嗟が渦巻いているイメージですが、フランス語でrevancheというと、リターンマッチという意味があったり、日常会話でもよく使う、「en revanche=そのかわりに」という表現があったりすることで、やや軽い印象を受けます(クラウン仏和辞書の例:私の家は都心から遠いが、そのかわり大変静かだ=Ma maison est loin du centre de la ville, en revanche elle est très calme.)。翻訳という作業が入ると、「復讐」と「リターンマッチ」ぐらいの語感の差が入ることは、しょうがないので翻訳者の意図に合うように訳されてしまいます。

翻訳しようと思ったところ、すでに翻訳なさっている方がいらっしゃいました。感謝ですサムライの復讐(ル・モンドの記事)|PAGES D'ECRITURE

日本の銀行がサブプライムローンの影響が少ない件に関して、ル・モンド紙では好評価を与えられています。つまり日本は過去のつらい経験から学び、サブプライムローンの狂騒に乗らなかったという評価です。
ニッポンの銀行は世界でほとんど唯一、サブプライムという毒を味わわなかった。部分的には、1990年代の心的外傷を未だ乗り越えていなかったからである。日本がおよそ10年間にわたって支払うことになった、デフレという形で非常に高くついた彼らの過去の過ちは、リスクのあるアメリカの不動産融資という致命的な冒険に飛び込むことを思いとどまらせた。
しかし、最新金融技術に対する知識が不足していて、競争に参加できなかっただけと言う見方もあります。競争に加われなくて負けなかったのは、飛行機事故に遭わないために飛行機に乗らないバカと一緒という理論も一理あるように思います。
資本主義は嫌いですか - 池田信夫 blog
邦銀は、幸か不幸かこうしたグローバルな金融技術競争にほとんど参加できなかったので、痛手はあまりない。しかし投資銀行型ビジネスモデルが崩壊し、世界 のファイナンス業界は再編を必死に模索している。1周遅れでトップに立ったようにみえる邦銀は、何もしないうちに地上の人類がこけて「おれたちの勝ちだ」 と喜んでいる地底人のようなものだ。
9月危機の教訓 - 池田信夫 blog
今回の事件を「やっぱりアメリカ人はバカだ」と嘲笑するのは簡単だ。しかし飛行機に乗らなければ、飛行機事故にあわないのは当たり前で、それは乗らない人が賢いからではない。その代わり彼は海外渡航するとき、船で行かなければならない。アメリカの成長率は1%台だが、日本の成長率(4〜6月速報値)は年率マイナス3%である。本当のバカは誰なのか、判明するのはこれからだ。
経済の専門家でも意見が割れるぐらいなので、どちらが正しいのか僕には分かりませんが、おそらくどちらの面もあったというのが真相かもしれません。

5 comments:

ちびた さんのコメント...

こんにちは

いつもながらとても参考になる
情報をありがとうございます。

確かに中国の陰に隠れて日本企業に
ライトがあたっていませんが、実力は
まだまだ負けていないと思います。
ただ内需を拡大したいのか、したくないのか
わからない政治。なんかあれば公共投資
しか思いつかない貧困な政策が
日本国内をだめにしている思います。

またサブプライムの飛行機に乗らなかった
日本の金融機関ですが、私も乗らなかった
のではなく、意志決定ができず乗りたい
けど乗れなかったというように思います。

Madeleine Sophie さんのコメント...

ちびたさん、

こっそりと復活しつつある日本がリターンマッチに臨み始めたところで、欧米がこけたという感じでしょうかね。しかも今度は、中国の陰に隠れてバブルの頃のような日本脅威論が起こることもなさそうですし、やりやすいかも知れないですね。

やっぱり飛行機は乗り遅れちゃったんですかね... 土地の値上がりを前提としていたと言う点では、日本のバブルとサブプライムローンの問題は一緒ですからね。もしかして、バブルの教訓から学んだ面もあったんですかね...

興味深いです。

Madeleine Sophie さんのコメント...

今思いつきましたが、欧米のメディアが日本を評価して、日本人が自身をバカかも知れないと疑念を抱いている構図は、「フランスの日々: 日本人はなぜ悲観論が好きか」と同じですね。自身の実力におごるよりも自身の至らない部分に焦点が合う日本人の美徳かもしれませんね。

ちびた さんのコメント...

こんにちは

なるほど、この記事の内容には
とっても共感できますね。

任天堂の例も確かですね、うちも
完全にこの流れでゲームを買って
います(^^;)
次はWiiミュージックみたいですよ。
来週発売です、うちは並ぶなどが
いやなので、人気が一段落してから
でないと買えませんけど、必ず買い
そうな予感です。

ありがとうございました。

Madeleine Sophie さんのコメント...

ちびたさん、今度はWiiミュージックですか。任天堂開発陣は「ゲームは不毛で、時間の浪費だ」という批判を覆そうとしてるのかもしれませんね。「→ゲームで芸術への造形を深め、あなたの人生を豊かにしましょう」みたいな感じですかね。

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