2008年10月24日

マンガとバンド・デシネ(B.D.、フランスのマンガ)


Nice, France
このエントリでは前のエントリで書いたパリのバーで会った、「俺は海賊だ〜、俺たちは仲間だ」と言って来た学生から聞いた話を紹介しようと思います。この学生は日本のマンガとフランスのバンド・デシネをこよなく愛する学生でした。ちなみに彼のいち押しのバンド・デシネは『LA CASTE DES META-BARONS(メタバロンのカースト制度)』だそうです。

彼は、日本のマンガはストーリーが面白くてキャラクターに愛着を持てると言ってました。日本のマンガは向かうところ敵なしで、フランス以外ではバンド・デシネを圧倒しているように見えますが、一方バンド・デシネにはマンガには無い魅力もあるそうです。そこで、まずマンガとバンド・デシネを特徴付ける点を整理します。


LA CASTE DES META-BARONS
参照:BDショップ パピエ
まず、マンガは日本で多くの読者をもっているために商業的に成功しています。漫画家になりたい若者が多く、多くの才能がマンガ雑誌を目指して切磋琢磨します。ストーリーは洗練され、キャラクターは読者を引きつけるものになっていきます。また薄利多売によって価格が下がり、毎週読み切れないほどのマンガが発行され、多くの人がマンガを大量消費していきます。一方、バンド・デシネの読者数は圧倒的に少なく、刊行は年に一度であることもよくあるそうです。このようにマンガは良いスパイラルが起きてクウォリティを保っていて、バンド・デシネは苦戦している様子が分かります。

しかし、冒頭の彼がいうバンド・デシネの良いところと言うのは、日本のマンガのように過当競争が起こらないところから来ているそうです。日本のマンガは商業的に成功することが生き残りの条件になってしまっていて、常に雑誌の売り上げを意識することになります。まず、一つのマンガは毎週雑誌に20ページほど掲載され、全体のストーリーから見ると1話ずつ切り売りされている状態といえます。こうなると商業的には、例えば「ついに因縁の対決が幕を上げた!!次週乞うご期待!!」というように、毎週の掲載の最後の方に次週の期待を盛り上げる見せ場を作る必要が生じます。これはマンガを面白くしている要素である一方、マンガの一種の制約であるといえます。

一方、一年に一巻程度の刊行で良いバンド・デシネにはそう言った制約はありません。また、毎週刊行する日本のマンガほど執筆スピードが要求されないため、じっくり作り込むことが出来るそうです。彼は、描画の芸術性はバンド・デシネの方が高いと明言していました。

バンド・デシネを圧倒しているように見えるマンガにも死角は存在します。移り気な読者をつなぎ止めるには、マンガ人気に安住し気を良くするだけでなく、他のコミックの良さを認め、さらに進化していく必要があるのだと思います。

2 comments:

サカタ さんのコメント...

バンド・デシネというのははじめて聞きました。確かに絵は映画のようにリアルに描かれていますね。しかもすべてカラー。しかし、疑問に思ったのが一年に一巻でも利益がでているのでしょうか?だとしたらそれはなぜでしょうか?

Madeleine Sophie さんのコメント...

サカタさん、
僕もフランスに来て初めて知りました。バンド・デシネはだいたいカラーで、紙質もよくハードカバーのことも多いです。感覚としては、アイドルの写真集のように保存しておくことを前提としているように感じます。値段も一冊12ユーロ(1ユーロ=150円だと1800円)と漫画よりも4〜5倍ぐらい高いです。おそらく採算ラインに合わせてるんだと思いますよ。

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