2008年9月1日

[書評] とてつもない日本

とてつもない日本 (新潮新書 217)
今日、福田総理が辞任表明をしました。本書の著者、麻生太郎氏が次期首相の有力候補とのことです。この本はブックオフのセールで1ユーロで買ったのですが、もしも首相になれば中古本も値上がりしてしまうかも知れません。ラッキーでした。この本は日本でも一度読んだかも知れません。でも、あまり印象に残っていないのです。というのも、僕には考えが至極真っ当に見えるのです。本書に書かれている内容は、このブログでも何度か取り上げてきました(→日本はアジアの実践的先駆者 by 麻生世界にいい影響を与える国:ニッポン)。

本書の意見は真っ当で納得(賛成)できるものなのですが、実際に政策を実行するには、いろいろな困難があるでしょう。政治の難しさは実行することにあるので、如何に賛成できる意見も意見だけでは何の役にも立ちません。しかし、どのような困難が予想されて、どのように解決するかという詳細は、本書には書かれていません。もちろん、本の中で実際の困難が起こる前にそれを予想し、解決法を提示することは出来ないでしょうし、本書の目的でもないでしょう。

彼の政策に賛成・反対どちらの立場に立っても、おおまかに彼の目指す日本の姿を理解することは必要でしょう。彼が何を目指し、何を実行するかを見て、初めて賛成も批判も出来るのです。本書は彼のビジョンを大まかにつかみ、賛成反対の議論の土台を作る入門書として読むべきでしょう。

日本が「とてつもない国」だと言うのは、海外に出てから気づきましたし、相当な評価をされているというのも事実だと思います。※ただし、『政治』は除く、です。国民がとんちんかんな議論をしている間は、日本の政治の成熟はありません。この政治家に反対の人も賛成の人も、目指す日本を正しく理解した上に、筋の通った議論が出来ることを願います。
「高齢化」を暗黒の未来のように考えることは、実は自分の未来を暗いと考えるのと同じことだ。そんなバカげた考えは、即刻捨てた方がよい、と申し上げたいのである。(P.74)
個人的には、麻生氏が首相になれば、高齢化問題の冴えた政策を最も期待します。
とてつもない日本 (新潮新書 217)
麻生 太郎 (著)

 第一章 アジアの実践的先駆者
  日本は必ずよくなる
  成功も失敗も進んでさらけ出す国
  安定化装置としての役割
  アジアの幸福

 第二章 日本の底力
  ニートも、捨てたもんじゃない
  若者のソフトパワー
  日本がロボット大国である理由
  私は劣等生だった

 第三章 高齢化を讃える
  若さは至上か
  還暦過ぎたジョン・レノン
  老人の労働力

 第四章 「格差感」に騙されてないか
  平等が生み出す不平等
  なんとなく気が晴れないだけ?
  教育は格差より悪平等の問題

 第五章 地方は生き返る
  炭鉱からベンチャーへ
  三位一体改革で親離れ
  役人の時代の終焉
  地方の底力の集合体が日本

 第六章 外交の見取り図
  外交は難しいか
  中国の台頭を喜ぶ
  北朝鮮が忘れてはならないこと
  靖国は、外交問題ではない

 第七章 新たなアジア主義----麻生ドクトリン
  SARSと人間の安全保障
  価値の外交
  民主主義は終わりのないマラソン
  自由と繁栄の弧を広げる
  国造りのお手伝いをする
  中央アジアの「グレート・ゲーム」
  自衛官という外交官
  アジアとのしなやかなネットワーク

  おわりに

格差社会、少子化、教育崩壊......。メディアでは暗い話ばかりが喧伝されるが、日本は本当にそんなに「駄目な国」なのだろうか。戦後、一度も戦争をせず、努力の末、経済的繁栄を実現した。トヨタ、ソニー、カラオケ、マンガは言うまでもないが、日本人が考えている以上に日本は評価され、期待もされている。悲観していても何も始まらない。「日本の底力」をもう一度見つめ直し、未来を考えるための一冊。

2 comments:

紅水晶 さんのコメント...

はじめまして、いつもありがとうございます。
足跡から伝ってちょこちょこ拝見させていただいています。
「とてつもない日本」の[書評]を読んで思わず、
先程、ママゾン.comで注文してしまいました。
本はもともと大好きでよく読みますが次期総理
になられるという方の書籍を買うのは初めてです。
届くのが楽しみです。丁寧な詳細で紹介して
くださって誠にありがとうございました。

Madeleine Sophie さんのコメント...

紅水晶さん、はじめまして。政治家が書いている本は、無難な内容が多いので、面白い本は少ないのですが、この本は語り口が軽妙なのもあって、面白いですよ。特に日本に対する楽観的な視点というのも、報道などでも少ないので、面白いかも知れません。お楽しみに!

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