2008年8月29日

放射型外交のフランスと妥協型外交の日本


Paris, France
フランスの人口は日本の約半分で、経済規模も約半分です。にもかかわらず国際舞台における存在感は、圧倒的にフランスの方が上です。EU27ヶ国の音頭をとりながら、また国連の常任理事国の5ヶ国の一角を占めながら、世界に対する影響力を行使しています。やっぱり日本は外交が下手なんだなと嘆く人も多いのでは無いでしょうか。

しかし、「[書評] フランスの外交力—自主独立の伝統と戦略」という本の記述によると、日本とフランスでは外交の種類が違うそうです。日仏で外交によって目指しているものが違うので、一概に上手い下手と比べることが出来ないはずです。まず、国際外交は3つに分類できるそうです。
フランス新進気鋭の国際政治学者、シャリヨン(Frédéric Charillon)パリ政治学院教授によれば、世界の主要国の外交は、「放射型外交」、「保護型外交」、「妥協型外交」の3つの類型に分類することが出来る。 (P.49)

まず、フランスは放射型外交に属します。
放射型外交」(politiques étrangères de projection)とは、政治的、経済的、文化的な影響力を自国の領土の外に積極的に及ぼそうとするもので、威信や栄光、偉大さやパワーなどといった概念が重要視される。その典型とされるのは、米国とフランスである。(P.50)
同じ放射型に属するアメリカとフランスは競合関係にあって、摩擦を起こすこと多いと書かれています。例としては、このブログでも取り上げたイラク戦争の議論が挙げられています(→正論を主張する国「イラク戦争に反対したフランス」)。フランスの外交の面白さは、圧倒的な力の差があるアメリカを競合として持つことによって、さまざまな知恵をしぼることを余儀なくされているからかも知れません。

その他は、中国・インドが所属するとされる保護型と、日本・ドイツが所属する妥協型があります。
保護型外交」(politiques étrangères de protection)とは、世界におけるプレゼンスを広げようとするよりは、外部からの侵攻や介入を自ら守ろうとするもので、安全保障や領土保全といった概念が中心となる。(P.50)
妥協型外交」(politiques étrangères de compromis)とは、過去の経験が桎梏(しっこく)となり、世界との関係において何らかの思い切ったことをしようとする時に、国内のコンセンサス形成に困難が生じる国の外交をさしており、ドイツと日本がこれに該当する。(P.50)
元ネタは、有料ですが『Les politiques étrangères : ruptures et continuités(外交:断絶と継続)』にあるようです。無料の資料としては、同じFrédéric Charillon教授の『Peut-il encore y avoir une politique étrangère française? (フランス外交はまだあり得るのか?)』にありました。後者はPDF形式でWEBにおいてあり、面白そうなことが書いてあるので読んだら紹介していこうと思います。

フランスが世界に影響を及ぼそうとしている努力に比べると、日本がしている努力は少々物足りなく感じます。フランス人にしたら、なぜ日本が持つ経済的な影響力や文化的影響力をもっと積極的に他国に及ぼさないのか不思議に感じるでしょう。両国が外交を通じて目指すビジョンの違い、体質の違いといえるかも知れません。

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