2008年8月22日

日本における二種類の中国批判


Shanghai, China
2008年現在、中国の台頭を問題視し、中国の社会体制を批判する日本人は多いです。共産党独裁政治、反日・愛国心教育、少数民族弾圧、言論・信教の自由の禁止、毒ギョーザ問題、海賊版コピー問題などなどです。これらの問題について、日本や海外のメディアではたくさんの批判が投げかけられています。日本では、将来にわたって悲観的な意見を持つ人が多いように感じます。

気が付いたこととして、中国の批判には二種類あると思います。
  1. 中国の台頭は日本の没落だから、中国の問題をたたく
    中国の重要性の増加に伴って、アジアで唯一の大国だった日本の重要性が低下するのを防ぐため、中国の問題をアピールする。国際的には中国より日本を選んでほしいという心理を基に、国内的には問題含みの中国は日本に追いつくことは無いと安心したい心理を基に、なされることが多い。「ネット右翼」と呼ばれる人達の中国叩きの大半はこれかも知れません。

  2. 日中友好は両国の利益という点をふまえ、中国の問題をたたく
    中国には友好的、先進的、モラルある大国となってアジアを引っ張っていくことを望み、それが日本にとっても世界にとっても利益になる立場を取る。建設的な立場から中国を批判する。
そもそも、成長が鈍化した大国が、猛追してくる後進の新興国に対する態度には、同様に二種類の立場がありえます。一つは、先進の立場から後進の新興国を叩くやり方で、二つ目は新興国の実力を認め、後進国に道を譲るやり方です。前者は、歴史上、19世紀後半にアジアの地域大国として君臨していた清と、明治維新を成し遂げ国力が増大中だった新興国・日本の関係があります。清は新興国の日本を脅威として認識し、朝鮮問題でもめた結果、日清戦争に発展、日清戦争に敗北の後、アジアの大国の座を転落していきました。

後者といえるのは、20世紀初頭まで圧倒的海軍力によってパクス・ブリタニカに代表されるような超大国の位置にあったイギリスと新興国アメリカの関係があります。イギリスは新興国アメリカに当初は支配的位置から嫌がらせしますが、結局支配的地位の維持は困難と見るや、新興国アメリカの実力を認め、アメリカに世界覇権を譲り渡しました。アメリカとの対決で友好を害さず、イギリスをより疲弊させない、より賢明な選択だったと思います。

日本をアジアの国だと見ると、同じアジアの清の失敗を繰り返すかに見えますが、日本を島国とみると同じく島国のイギリスの成功を真似できそうに見えます。日中関係の今後を予想することは困難です。30年先の未来を予想するのは専門家ですら占い程度の正答率なので、このエントリで出す結論も同様です。個人的予想としては、日本は同じ島国のイギリスの成功のように新興国中国との対決を避ける方向に進むと思います。

本ブログのエントリ「日中友好の重要性」 では、中国がモラルある大国として台頭するのは日本の利益になることだと書きましたが、中国の問題は見過ごすことは出来ません。中国を批判する記事や意見を見た時に、二種類の批判のうち、どちらの立場から発せられたモノであるかに注目する必要があります。このブログでの中国批判は後者の立場をとるように心がけたいと思います。

研究者の端くれとしては、前者(新興国たたき)が成功した例や、後者(新興国との友好)が失敗した例を挙げなければ公平な見方とは言えない思いますが、このエントリでは割愛しました。

4 comments:

匿名 さんのコメント...

「ネット右翼」なんて固まった勢力は存在しないと思いますよ。

そうやってレッテルを貼りたがってるマスコミは多いみたいですが。

Madeleine Sophie さんのコメント...

ネット上も我々の世界の延長なので、右翼も左翼も存在することは確かだと思います。固まった勢力かと言われると、彼らは統一された意志を持っている訳ではないので違うかもしれませんね。レッテル貼りについては、思っていることについて一つエントリを書いてみたので、ぜひ読んでみてください。→「レッテル貼り」に貼られたレッテル

白 さんのコメント...

ウイ。
読ませたいただきました、つか再度精読させていただきました。
そちらのエントリーの内容に関しては完全に同意します、利点も欠点も含めて必要性に関して疑問はありません。

問題は明らかにミスリードを誘う為に二重基準のレッテル貼りを悪用された場合……と延々と書いて何処から読んでも場違いなマスコミ批判になってしまいましたので自重しますorz


挨拶が遅くなりまして申し訳ありません。
昨日からこちらのブログを楽しませて頂いてます。

この国を外から眺め、色々な国の人との交流からくる実体験を元に比較できるのは羨ましい限りです。
インターネットのお陰で、日本から離れることなく擬似的にその認識を得ることは可能になりましたが、やはり実体験、一次資料に勝るものはありません。

これからもよろしくお願いします。

Madeleine Sophie さんのコメント...

白さん、マスコミの批判は僕自身は同意してしまうかもしれません...英仏の報道と日本のニュースを見比べると、マスコミの偏向の方向性が見えてきます。

このブログについてそう言ってもらえると励みになります。ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

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