2008年8月12日

[書評] フランス生まれ―美食、発明からエレガンスまで

フランス生まれ―美食、発明からエレガンスまで  集英社新書
フランス人が何を生み出したかを見ることによて、フランス人とは何かを探る本。何か人を知ろうとする時、その人の生み出した物を見るのは非常に良いアイデアだと思います。著者はフランスが大好きでしょうがないらしく、それが伝わってきます。仕事につながる物がこの上も無く好きというのはうらやましい気がしますが、フランスの全てが美しくてエレガントで上流のものだと考えていそうに見えてしまいます。自分はこういう風に見られないように、反面教師にしたくなりました。

面白かったところは、フランス人の保守性に関するところです。
さて、パン王国のフランスだが、パンの種類となったらとても日本には及ばない。なぜか。フランス人は味覚についてもきわめて保守的であり、日本のように次つぎと新製品をでっちあげるようなことをしても売れるはずがないからである。(P.18)
これは、フランス人自身が認識しているようです。フランスのワインコーナーには数十メートルに渡る棚全てがワインで埋め尽くされていますが、ほとんどのワインのラベルは二色刷りです。友人は、印刷機械が進化によって可能になったカラフルで表面の滑らかなラベルは、フランス人にはおいしそうに見えない。古いデザインの方が新しいデザインよりおいしく見えるので、新しいラベルが出てこない、フランス人は保守的だと言っていました。

チーズの匂いはいろいろな人が、いろいろなことを言っていますが、最高の表現を見つけました。臭い口の匂いとか臭い足の匂いとかは聞いたとことがありましたが、これはなかなかだと思います。
カマンベールの命はなんといってもあの独特なおいしいにおい。そのにおいについては大昔から色いろな人が色いろに言っているが、傑作表現となると«神様の足のにおい»にとどめをさす。(P.23)
ただし、間違いも見つけました。なぜかボージョレ・ヌーヴォーがおいしいと書かれていました。
ヴィーヴ・ル・ボージョレ・ヌーヴォー—バンザイ、ボージョレの新酒、—、ヴィーヴ・レ・ビュヴール—バンザイ、飲んべえたち—。うまい酒はやはりうまい。(P.28)
多くの人が知っているように、ボージョレ・ヌーヴォーは発酵が未熟なワインです。個人の味覚の話なので、間違いとも言い切れませんが、おいしいと評する人は稀です。フランス人も味見はしますが、やっぱり若いな〜と言いつつ、今年のブドウの傾向などを議論したりしてます。

パスティス売り場


もう一つの間違いは、かなり確かです。
マルセーユ地方にその昔からフヌイユ(甘草)などの南仏産の薬草、香料をベースにしたパスチスという酒があるが、その商品名がリカール。そしていつしかパスチスという名は忘れられ、リカールという名が普通名詞になった。(P.31)
パスティスという名前は、まったく忘れ去られていません。リカールは商品名で、他にペルノー(PERNOD)、サンカンティアン(51)、プラド(Prado)、ベルジェ(Berger)、ジャノ(JANOT)、カザニス(CASANIS)、デュバル(DUVAL)などがあります(wikipediaより)。右にパスティス売り場の写真を付けておきます。

最初の30ページで2つも間違いを見つけてしまったために、疑心暗鬼になりつつもささっと読み進めました。
フランス生まれ―美食、発明からエレガンスまで 集英社新書 集英社新書 (新書)
早川 雅水 (著)

第1章 食
第2章 ファッション
第3章 暮らし
第4章 アートと文化
第5章 科学と発明
第6章 お楽しみ

身の回りの意外なものが「フランス生まれ」だった!映画、カメラ、ネオンサインに点字から、ブラジャーや貞操帯まで…。パリを第二の故郷とする著者が、フ ランスに起源を持つものとその歴史、現在の使われ方などを軽妙な文章で紹介。もちろんおなじみ世界的ブランドのルーツや、グルメの蘊蓄ばなしもたっぷり。 そしてフランス生まれの品々の向こうに見えるのは、フランス人という世にも面白い人びとの生き方なのだ。六十八本の小さな物語から、フランスの暮らしを覗 いてみよう。

2 comments:

ちびた さんのコメント...

こんにちは

フランス人ってこんな保守的な面があるんですね、保守的というか伝統を守るかもしれませんが・・・

私のイメージでは常に革新的な国だと思っていました。

「神様の足のにおい」最高です!

Madeleine Sophie さんのコメント...

王が絶対だった時に、市民革命で王様の首を刎ねた国ですからね。革新的なところもあるんですが、文化的には保守的な気がします。古い物の方が良いという観念があるような気がしますね。

同じ友人がフランスは未だに小切手が全盛なのを挙げてフランス人の保守性を説明してました。お金が相手に渡るまでの仕組みが全て理解できないと大半の人は不安だそうです。

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