2008年8月9日

[書評] 大東亜会議の真実

大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して PHP新書 (PHP新書)実は本書を読むのは2回目です。日本で一度読み本は手放したのですが、パリのブックオフで見つけ書評を書いてみたく思い再購入しました。本書は「[書評] 福沢諭吉の真実」と同様に、一般的にいわれる内容と別の角度から見る本です。あの戦争を多面的に見つめるには、「戦争犯罪人が日本をめちゃくちゃにし、アジアを侵略して迷惑をかけた」という以外の別の見方を考察する必要があります。

この本はタイトルから受ける印象の、単なる”大東亜戦争”の肯定で終わっていません。欧米に支配されていたアジアの国々の指導者がどのように独立を成し遂げ、そのためにどのように日本と関わるか考えていたことが、多数の証言と共に紹介されます。日本の支配を批判する証言や、日本を利用し独立の闘争を加速する証言などです。日本の敗戦当時の1945年には、アジアには多数の植民地が残されていました。

1945年時点の植民地(wikipedia
戦後、フィリピン(1946)、インド(1947)、パキスタン(1947)、スリランカ(1948)、ビルマ(1948)、インドネシア(1949)と次々と独立していきます。



本書のサブタイトルである「アジアの解放と独立を目指して」というのは、戦争において日本が劣勢に立たされてから具体化して来たそうです。日本が戦う理由は、当初は「自存自衛」でした。戦争から2年近く経過した1943年4月、重光葵が「アジア解放」の理念を戦争目的に導入しました。
「大戦争を戦う日本には、戦う目的について堂々たる主張が無ければならぬ。自存自衛のために戦うというのは、戦う気分の問題で、主張の問題ではない」『重光葵著作集・1 昭和の動乱』(P.47)
開戦当初の2年間も戦争目的なしに戦争していたのは驚きです。「アジアの解放」が出て来た背景には、敗戦後をにらんだ構想があったそうです。
重光の本音は、日本の敗戦を予想し、日本が戦後のアジアに生きるためには、アジアの開放と独立という投資を行っておかなければならない、という点にあった。アジア諸国において、開放と独立が達成されるならば、たとえ日本が敗戦の憂き目に遭おうとも、アジア諸国は暗黙のうちに、日本の戦争の歴史的意味とアジアにおける日本の存在理由とを認めてくれるであろう、と考えたのである。(P. 47)
本書は、アジアの指導者が日本と共に戦った経緯が、証言と共に紹介されています。バー・モウ(ビルマ)、ホセ・ラウレル(フィリピン)、スバス・チャンドラ・ボース(インド)、スカルノ(インドネシア)、ハッタ(インドネシア)、アウン・サン(ビルマ)などです。僕が一番印象的だったのは、インドのボースでした。かれの証言は、日本の長所・短所を冷静に見つめ、どんなに情熱的にインド独立に身を捧げたかが伝わってくるからです。2つ引用します。
「枢軸国が戦争に勝つとしても、敗れるとしても、いずれにしてもイギリスはインドから駆逐されるであろう。もしもインドが他国の慈悲によって自由になったとすれば、われわれは間もなくその自由を喪失するに違いない。これがインド自由軍に対し、かれら自身の血を流すことを決意せしめた所以である」(『チャンドラ・ボースの生涯』)(P.151)
一方、国塚一乗はこう証言する。「日本訪問から帰って、ボースがいったことはね、日本という国が偉いことは認める。良い兵隊が要るし、良い技術者もいて、万事結構である。ただし日本には良き政治家(グッド・ステーツマン)がいない。これは致命的かもしれぬ、といっていたね」(P. 161)
最後に、外国人と太平洋戦争を話し合う時の注意すべきことを指摘しておきたいと思います。それは、この本に書いてあるように「日本はアジアの解放と独立を目的に戦ったんだ」と言わないことです。たとえそれが日本の戦争目的に書いてあり、その目的のために戦った日本軍人がいたとしても、各国の独立には各国の独立の英雄がいます。日本が各国を独立させたなどと言うことはは、各国の英雄の役割を軽視していると見られます。むしろ、各国の独立の英雄が日本と共に戦ってくれた、もしくは、他国の英雄が日本を独立の契機として利用した、と言うのが良いと思います。
大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して PHP新書 (PHP新書)
深田 祐介 (著)

昭和18年11月、大東亜会議開催さる
東条英機首相の代表演説
英国、オランダのアジア統治
裏切られ続けた一中国人の悲劇
全アジアの満州国化
策士の内なる理想主義
大東亜共同宣言
ジョヨボヨ伝説と日本軍
チャンドラ・ボースの進軍
東条内閣総辞職
ラウレル亡命
日本降伏
民族独立の夢
東亜解放のための戦争
大東亜共栄圏は日本の財産だ—福田和也との対話

昭和十八年十一月、戦時下の東京にタイ、ビルマ、インド、フィリピン、中国、満州国の六首脳が集まり、大東亜会議が開催された。史上初めて一堂に会したア ジア諸国の代表が「白人支配からの解放」を高らかに謳いあげた時、日本の戦争は、欧米帝国主義を模倣して権益を追求する侵略戦争から、アジア民族解放の大 義ある戦争へと大きく性質を変えたのであった—。“東京裁判史観の虚偽”を正し、大東亜会議が「アジアの傀儡を集めた茶番劇」ではけっしてなかったことを 明らかにする画期的労作。

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