2008年8月3日

日仏の教育における学費の私費負担


Versailles, France
本ブログの「なぜフランスに留学するのか:フランスの教育」では、「フランスの学校はほとんどが公立学校で、学費が無料です。」と書いていたのですが、本ブログの「グランゼコールの組織形態と学費」において商業系(MBA)のグランゼコールでは、私立の割合も半分ぐらいあり、学費も7000〜8500ユーロほどかかることが分かりました。

しかし、フランスの教育における学費負担は無料が基本です。この辺の事情については、「[書評] 日本とフランス 二つの民主主義」に詳しいです。少し抜き出します。
フランスの教育は、幼稚園から大学に至るまで、通常の教育機関は無償あるいは超低学費が大前提である。(P236、『私学でも学費はダダがフランス的常識』)
国立大学の学費が1990年から2005年にかけて、なんと2倍近くに跳ね上がったのだ。それでも、2005年度の年学費は、学部課程の場合、登録税 156ユーロと予防保険費4.57ユーロで総計160.57ユーロ(約2万3350円)に過ぎない(P.238、『フランスの学費急騰問題』)
日本の場合、ヨーロッパ諸国に比べて、養育費に対する私費負担の割合が非常に高い。(P.239、『日本の教育費』)
フランスの教育にかかる私費負担は、日本よりだいぶ安価であることが分かります。実際、僕が通っているフランスの博士課程も日本における博士課程の学費の20分の1程度です。以上が僕の知っているフランスの学費の情報だったので、「報道されないフランスの真実(2)」において、商業系のグランゼコールの学費が高額であることを示した後、以下のように書かれていたのには驚きました。
フランス人の中にも「アメリカや日本の大学は学費が高い」と言う人がいるが、自分の庭をあまり見ていないようだ。ここで、読者の皆さんに問いたい。「フランスの教育は安いぞ!」と報道する日本メディアは、こうした実情を知っているであろうに、そのようなことを言って良いのか。...(略)...また「フランスの高等教育は安いぞ!」と触れ回っている日本の知識人やメディアには「日本人よ、日本の教育を恨め」という本音があるように感じる。
グランゼコールは一般的な教育と比べると特殊で、経営学修士(MBA)はその中でさらに特殊なところです。そこの学費が高額なことを理由に上のように、フランスの高等教育と一般化して述べてしまうと、フランスの一般の大学や、理系のグランゼコールまで高額な授業料を要求しているのかと誤解してしまいます。

日仏における教育おける私費負担はOECDのEducation at a Glanceに統計資料があります。在学者一人当たり教育支出(エクセルデータ)を画像として保存したものを転載しておきます。日本の教育における私費負担は60%近く、フランスは15%近くということが分かります。

また、日本の教育を改善したいと願う者が日本の教育の短所を指摘し、外国の教育の長所を探してくるのは建設的な議論です。日本の長所を誇り、外国の短所をあげつらっても、日本の問題は見えなくなるだけで解決されることはありません。

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