2008年8月20日

フランスと中国の関係が改善中...2008年8月


Paris, France
本ブログの「フランスにおける中国と中国人」で触れたように、フランスと中国の関係は今年の前半はかなり良くありませんでした。関係が突如悪くなったと感じたのは、やはりチベットの暴動があった3月です。同僚の中国人も交えて、昼食でも少し話題が出ていたことを覚えています。とはいえ、まさか同僚を責めてもしょうがないので、ちょっと触れるだけでした。

また、4月7日にオリンピック聖火ランナーがパリに到着した時は、中国人の同僚は仕事をお休みしてランナーを見に行ったにも関わらず、バスが走って行ったのしか見られなかったと言っていました。その後、中国人達によってパリや外国の都市や中国でデモがまき上がります。

パリで行われたデモは友人に誘われて見学しに行ったのですが、フランス人達は冷ややかにやり過ごしているように見えました。見学の後、友人に貼ってもらった中国国旗のシールを剥がしてテーブルに置いておいたところ、ウェイターに「中国国旗は困る」といわれて持っていかれてしまいました。確実に中国人だと思われたと思います。

また、同じ頃の違う日に、ほとんど乗客のいないバスで本を読んでいた時、嫌なことがありました。後ろから空の500mlペットボトルが飛んで来て、椅子の背もたれのところに当たって転がりました。何が起こったかと思い振り向くと笑いながら降車していく二人の若者がいて、彼らがペットボトルを投げて来たのだと理解しました。今思うと中国人だと思われていた可能性が高いように感じます。

急激に悪化していたフランスー中国の関係でしたが、オリンピックと前後してフランスは親中国に舵を切って来たように感じます。その先頭に立っているのは、サルコジ大統領です。当初はオリンピック開会式のボイコットをほのめかしていたこともありましたが、フランス大統領として、EUの代表として7月に開会式に出席することを決定しました。また、オリンピック中は在仏中国大使館前のデモを禁止し、訪仏中のダライ・ラマには会談しないことを決定しました。代わりに外相と大統領夫人が会談することになったというニュースが出てました。

リュミエール兄弟の街から: ダライ・ラマ訪仏」によると、やはり中国の人権侵害を問題視するフランス人には、ダライ・ラマの講義はやはり関心が高いそうです。
ル・モンドLe Mondeによると5千人が175 euro(= 約28,400円(1 euro=約162円))を払ってこの講義に申し込みをしているとのことです。フランス人のダライ・ラマ、チベットへの関心が伺えますね。
実際のフランス人の中国への感情がどのように変化しているかは推測するしか無いのですが、報道から見る両国の関係はたったの半年で急激に悪化した後、改善に向かうという変化をしています。たった半年でこれほど関係が変化したのですから、これから短時間でどちらに転ぶ可能性もあるといえます。上の例のように中国人と間違えられやすい日本人としても、両国の関係は要注目です。以下に半年ほどの経緯をまとめてみました。
3月14日 チベットの抗議活動、暴動に発展(参照
3月23日 チベット暴動、パリで武力鎮圧に対する抗議デモ(参照
3月28日 仏大統領、五輪開会式ボイコットを示唆(参照
4月07日 オリンピック聖火ランナーが妨害され火を消される(参照
4月16日 チベット指導者ダライ・ラマがパリ名誉市民に(参照
4月19日 中国人が抗議のデモ(フランス)(参照
4月20日 カルフールに対してデモ(中国)(参照
4月21日 仏大統領、中国へ特使2人を派遣へ (参照
5月29日 フランスへの中国人観光客が激減、当局が旅行業者に圧力か(参照
==== 改善中 ====
7月09日 フランス大統領、オリンピック開会式に参加を明言(参照
8月08日 パリの中国大使間の前でデモを禁止(フランス)
8月11日 ダライ・ラマ、フランス入り=サルコジ大統領とは会談せず
8月19日 仏外相と大統領夫人、22日にダライ・ラマと会談(参照

追記
コメントを頂 きましたが、「フランスと中国の関係が改善中」と言うのは誤解を招くかも知れません。フランスでは人権の母国として中国の人権侵害を非難する人は多いで す。もちろんフランスのメディアでも、たびたび取り上げられる話題です。フランス人全員が人権侵害を非難することを止め、中国との友好を望むようになった訳では、もちろんありません。大統領が中国との友好モードに舵を切ったのに注目して本エントリーを執筆しました。

5 comments:

M: 木蓮 さんのコメント...

こんにちは、Sophieさん。
ご紹介してくださって、ありがとうございます。本当に短期間の間にフランスと中国の関係は大きく変わりましたよね。両国の関係がこれからどうなるのか注目しています。

日本ではまだ毒入り餃子事件の影響などで中国との関係は悲観的な人も多いようですが、一方で中国側では「改善するだろう」と思っている人が多い、とどこかの新聞に書いてあったと思います。日本との関係はフランスとのそれよりもっと複雑ですから難しいでしょうね。

Madeleine Sophie さんのコメント...

m: 木蓮 さん、フランスと中国の関係は日本人にも興味深いですね。今回も興味深いエントリだったので引用させていただきました。ありがとうございました。

中国と日本の関係では今のところ、日本側では悲観的な人が多いのは感じますね。逆に中国人は友好モードに入って来てるみたいですね。僕もどこかのニュースで呼んだ気がします。中国人の友人には四川の自身の時には日本人が義援金で助けてくれたから感謝しているといわれました。木蓮さんのいわれる通り日中関係は複雑ですから、どう転ぶか予想するのは難しいですね。

フランス生活観察人 さんのコメント...

いつもブログを愛読してます。
中国とフランスの関係が改善ですか・・・私は政治家の発言とオリンピックのテレビ報道で相当の温度差を感じてます。テレビ関係(コメンテーター、キャスター等)では軽い中国蔑視のニュアンスが感じられるし、新聞(左系)でも小さい事象をとりあげて中国の”特異性”を強調しているような気がしますが・・・追っているメディアからの影響の差ですかね。

Madeleine Sophie さんのコメント...

フランス生活観察人さん、なるほど言われることは良く分かります。人権を重視する左派の人達には、今の中国の人権侵害は到底受け入れられないことだと思います。

中道といわれるル・モンドでも中国がチベットで行っていることを非難する記事がトップニュースとして掲載されています。これでは、とても改善中とは言えないかも知れません。

ダライラマがチベットの”暴力鎮圧”を告発(Le dalaï-lama dénonce "le projet de répression brutale" au Tibet - Asie-Pacifique - Le Monde.fr)
http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2008/08/21/le-dalai-lama-denonce-le-projet-de-repression-brutale-au-tibet_1086218_3216.html

このエントリで伝えたかったことは、大統領が中国への友好ムードを引っ張っているということです。経済の立て直しを公約として当選した大統領は中国との関係を重視しているように見えます。当初は大統領、閣僚、メディアが揃って中国たたきだったのとは、少し改善といえるかもしれないということです。フランスでは大統領は大きいですからね。もちろん、国民の多くが中国の人権侵害を批判するようになれば、大統領でも無視できないでしょうが。

これからの関係にも注目ですね。コメントありがとうございました。

Madeleine Sophie さんのコメント...

「フランスと中国の関係が改善中」というタイトルは、全てのフランス国民が中国の人権侵害問題を忘れて、友好モードに入った印象を与えますね。もちろんそうでは無いので、追記で修正しました。

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