2008年7月13日

日本人は全員似ている (Le Japon)


Versailles, France
仏語本「Le Japon 固定観念」の「日本人は全員似ている」という第一の固定観念に関する章を読んでみました。日本に相当詳しい人が書いているという印象でした。フランス人から見て日本人が全員似ているように見える理由が明かされています。

まず、日本人には"uchi"と"soto"があるということが説明されています。"uchi"では、幼稚園、学校から企業まで全員がルールに従い、団体行動をする必要があるということが書かれています。"uchi"の中での仲間はずれの例に、学校におけるいじめや企業における"madogiwa ni"が挙げられています。集団のルールを守れないものを仲間はずれにする、murahachibuという慣習があったという風に説明されています。
封建的時代から仲間はずれにされることは怖れられた。それは、村八分(les "huitième villageois")と呼ばれ、その住民が10個のうち8個の集団活動に参加することを妨げる。葬式と火事に対する抵抗は残された。また、最大の制裁は島流し(L'envoi dans une île)、外への追放であった。(P.17)
次に説明されているのが、本音と建前です。この章で唯一の明確な間違えを発見したので、ここに転載します。「本音」の漢字の翻訳が誤っています。ただし、述べられていることはおおむね正しいと思います。
本音は直訳では本根といい、それは、内的な感情や意見で、心の声であり、それは特殊な事情の中で隠され続けられねばならず、また抹殺されることさえある。
Honne, mot à mot la "racine principale", c'est le sentiment ou l'opinion intime, la voix du coeur, qui doit rester cachée ou même supprimée dans les circonstances exceptionelles.(P.19)
結論としては、日本人には「内と外」という概念があり外から見ると同じに見えがちで、また仲間はずれを怖れる心性があること。「本音と建前」があり、本音は複雑で大きな差異があったとしても建前は似かよるという風に説明されています。日本人の考え方は多種多様である、証拠としては、1920年ぐらいから大きく発展した、作者自身が事故の生活体験を叙しながら、その間の心境を披露していく作品である「私小説」が挙げられていました。

最後に、本章で説明されていた日本語を紹介して終わります。

日本語
フランス語
uchi-soto(内と外)dedans-dehors
madogiwani(窓際に)
vers la fenêtre
shimanagashi(島流し)
envoi dans une île
uchimaku(内幕)
à l'intérieur du rideau
uchiwa(内輪)
en intern
uchiwa-kekkonshiki(内輪結婚式)
cérémonies de mariage que l'on fait entre soi
nanigoto mo uchiwa ni yaru beki(何事も内輪にやるべき)
quoi qu'il en soit, ce doit être fait dans le cercle
burakumin(部落民)
parias
ainu(アイヌ)
aborigènes
tatemae(建前)
devant du bâti(直訳)、la façade
honne(本音)
racine principale(直訳)、le sentiment ou l'opinion intime
shishôsetsu(私小説)
un nouveau roman rédigé au nom du "je"

4 comments:

cruasan さんのコメント...

こんにちは、cruasanです。
やはり海外で長く暮らしていると必然的に自国の文化に興味が湧いてくるのでしょうか。特にナショナリズムが強いフランスやスペインにおいて毎日のように自国の文化を愛している人々に接していると、日本文化について何も知らない自分が恥ずかしくなってきます。

建前と本音については司馬遼太郎が、とある対談で面白い事を言っていました。ある時、日本の歴史について何も知らないドイツの参謀を関が原の古戦場に連れて行って両軍の布陣を説明したそうです。それを見て彼は即座に「石田軍の勝ち」と結論付けたそうです。勿論結果は石田の負け。それでも「この布陣から言ったら、そんなはずは断じて無い」と言い張るドイツ参謀に、司馬遼太郎が「いや、実は日本では戦争というのは建前であって、大事なのは根回しなんです。関が原の場合は小早川が裏切る事が前日に決まっていて、その時点で勝負は着いていました」と説明し、やっと納得したそうです。

日本に居る時は特殊性なんて感じなかったけど、世界的な視野で見ると、こんな些細な事すらも日本文化を表象している事が分かって面白いですね。

ちびた さんのコメント...

「村八分」いまでもわりと普通に使っている言葉ですが、なぜ八分なのかということをちゃんと知っている若い人はどれだけいるんでしょうね。

ネット検索で「グーグル八分」とかいう言葉もたまに聞きますが、じゃあグーグルの2分は何?って聞きたくなります(^^;)

Madeleine Sophie さんのコメント...

cruasanさん、海外に出ると日本のことをもっと良く知りたいと思いますよね。もっとよく知らなければならないという義務感みたいなものあります。自分の身の回りの人達に取っては自分が唯一の日本人だったりするので、言わば狭い世界での日本代表ともいえるかも知れません。
本音と建前の使い分けなどは、うまく説明できないと、日本人が良く分からない人間だと思われがちですよね。ひどい場合には、このエントリのように全員一緒の考え方をしていると思われたり、嘘つきだとさえ思われるかも知れません。司馬遼太郎のお話ありがとうございました。建前の話でおもしろいです。

Madeleine Sophie さんのコメント...

ちびたさん、この本の著者は日本の単語を良く知っているなと感じました。日本人でも結構知らない人もいますからね。グーグル八分は何を2割残しているんでしょうね。命名者も村八分の残りの2割が火事と葬式だと知っていたのかどうか。。

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