2008年5月31日

国民総かっこよさ(Gross National Cool)とは


Paris, France
GNP(Gross National Product、国民総生産)、GDP(Gross Domestic Product、国内総生産)は学校の授業で習いましたが、アメリカのジャーナリストが提案しているのが、GNC(Gross National Cool、国民総かっこよさ)です。「日本の国民総かっこよさ(Japan’s Gross National Cool)」(PDF)と題された記事を見つけたので、紹介していきます。

記事が書かれたForeign Policyは1970年に設立されたアメリカの雑誌で、調べたところこの記事は2002年頃に書かれていました。概要は以下のようになっています。
日本はまた超大国に躍り出て来ている。広く報告されている政治的/経済的不運の影響の崩壊にかわって、日本の世界的文化影響力は急速に成長して来た。ポップミュージックから電子機器、建築からファッション、アニメから料理まで、日本は1980年代に経済でそうであった以上に、今日における文化超大国に見える。しかし日本は、同じぐらい強力な国家のメッセージを表明する手段の支配を手に入れられるだろうか。
記事では、まず日本のポップ文化の状況を渋谷などの例を挙げながら一通り説明します。また、ポップ文化やマクドナルドなどに代表されるグローバリゼーションはアメリカのパワーの源泉であったが、アジアの国々はニューヨークではなく東京の生活スタイル雑誌を作り始めたことに危機感を表します。プレイステーションやニンテンドーゲーム機におけるゲームは日本のマンガとアニメに着想をえた映像が溢れ、映画マトリックスやテレビドラマでは東京が国際的にファッションの首都になっている。ポケモンのマンガとゲームは65ヶ国で放送され、30以上の言語に翻訳されるなど、TIME誌と同様の普及率を誇ることについて述べられます。

次に1980年代に、ジャストインタイムシステムなどアメリカも見習って来た経済も長引く不況でダメになった反面、日本の世界的文化影響力は急速に成長して来たと展開します。「国民かっこよさ」は評価できるものではないが、ハーバード大学のジョセフ・ナイが提唱するソフトパワーの一種であると結論します。

結論自体は特筆すべきものではないのですが、この記事の面白さの全ては題名にあります。国民総かっこよさ(GNC, Gross National Cool)は日本のかっこよさを意味する「クール・ジャパン」を説明する意味で使われることが多くなっています。つまり、1980年代に経済分野において圧倒的な勢力を誇っていた日本を語るときに使われた国民総生産(GNP)をもじって、今日の日本の文化的影響力の大きさを表すのに使われているのです。それによって、過去の経済分野における日本の勢いを思い出させ、現在の日本文化の影響力を理解させる効果と、日本が経済から文化に転換したことを理解させる効果があります。

この記事を書いたジャーナリストはジャーナリズムの能力もさることながら、キャッチコピーの才能が素晴らしいと感じます。このユーモラスな表現こそが、一人のジャーナリストの一意見という見方を超えて、この記事が長らくいろいろなところで参照される要因だと思います。

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