2008年6月29日

バブル期の日本の面影


Versailles, France
前回のエントリー「Le Japon - idées reçues -」では、外国人が持つ日本に対する固定観念が述べられていましたが、これを感じたことがあります。一人でパリの美術館を歩いている時のことでした。同じく一人で美術館を周っていた老人が話しかけて来たのです。僕が日本人と分かると、自分の日本の知識を語りかけてきました。

いわく、「日本は極東のすごく小さい島国なのに、ものすごいお金持ちなんでしょう」とのことでした。しかも指でコインの形を作りながら、すごいよねと言ってくるのです。まず、日本はそんなに小さくないということ伝えたのですが、固定概念はなかなか崩れないのです。日本はフランスの3分の2ぐらいの大きさで、ドイツよりわずかに大きい(参照)と伝えて、やっと分かってもらえました。フランス人に日本の国土をイメージしてもらうのはドイツと同じぐらいと伝えるのが一番分かってもらえると思います。

あとは、お金持ちの方の固定観念は、最後まで崩せなかったようです。2008年現在、国民総生産(GDP)では世界第二位の国は確かに裕福であることは間違っていないのと、悪いイメージではないので僕が熱心に訂正しなかったせいだと思います。でも、その固定概念は、かなり昔の日本のイメージを引きずっているように見えました。

日本は敗戦の後、約25年で国内総生産(GDP)で世界第二位になった1980年には、フランスでも日本のニュースで溢れていたんだと思います。老人の固定観念の中に、社員の雇用を生涯守るシステム、社員の年齢によって序列を決定するシステムなど、西洋のやり方とはまったく違う方法を引っさげ、経済的に躍進した日本の輝かしいイメージを見ました。その後、1990年代、バブルが崩壊すると日本の脅威は薄れ、次第にフランスにおける日本のニュースが減少し、老人の頭には輝かしい日本と脅威の日本のイメージがそのまま残ったと考えられます。

これを裏付ける文章を「[書評] これから10年、新黄金時代の日本」に見つけました。日本のバブル崩壊がおこるまでは、日本は特別に優秀な国だと思われ続けていたのとの記述です。成功している間は、日本にも無能で腐敗した政治家がいることや、凶暴で秩序を乱す学生が学級を崩壊させているようなことはニュースとして触れられにくい傾向があったそうです。不況後にこういった日本の光と影の両面を見るニュースが現れました。
[書評] これから10年、新黄金時代の日本
すなわち、世界の人々は、それが起こるまでは、日本を、他国には発見できないビジネスや経済上での秘訣を見つけた人たちの、超人的国家だと考えていた。しかしこの不況を景気に、他と変わらぬ普通の国に成り下がったと、見はじめたのである。(P.66)
バブル期に流された、日本の一方的イメージと言うのは15〜20年経た現在でも所々に見られます。「Le Japon - idées reçues -」の目次にある

« 1945年の敗戦以後、日本は経済的な奇跡を実現した »、
« 日本人は全てをコピーする、そして改良する »、
« 日本は天然資源を欠いている »、
« その伝統は自然との調和を賞賛するが、国は非常に汚染されている »、
« 日本人は仕事中毒でバカンスをとることは無い »、
« 日本人は生涯同じ会社に勤める »

といったイメージはバブル期のニュースに起因すると考えられます。日本を外国人に正しく伝えるためには、外国人が思う日本を意識することは重要です。

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