2008年6月16日

[書評] 「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート

「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)フランスにいると日本の経済や政治について関心を持っているフランス人にも出会います。それでも多くの人は、一週間に何度かやっている新聞の片隅の日本の記事に興味を持ったりしているだけで、日本について深く知っている訳ではないです。また、マンガやアニメの知識が僕よりもずっとあるフランス人に出会ったりします。それでも、日本という国の全体を見渡して傾向を知っている人はほとんどいません。本書は、にほんに十四年にわたって住んでいるイギリス人の日本考察ですが、多くのフランス人同様にイギリス人も以下のように感じているのです。
簡単にいえば、ほんとうのところ、誰もわかっちゃいないのだ。...(略)...多く の西洋人にとってニホンは地球上で最もエキゾチックな国だ。あるオーストラリ ア人の作家は、日本を「不可知の国」と呼んだ—まるで、日本は理解されるのを 拒んでいる国であるかのように。(p.11)
著者はこの意見には反対していますが、多くの外国人は同意すると思います。外国人は日本に来るといろいろカルチャーショックを受けると思いますが、だんだん日本社会になじんで来てしまいます。フランスに来た日本人も同様ですが。かのラフカディオ・ハーンの師匠もハーンにこう言ったそうです。
「早急に第一印象を必ず書きとめておきたまえ。いいかね、第一印象というものは霧のように儚い。行ったん消えてしまえば、二度と君のもとに戻ってくることはないだろう。しかし、今後、君がこの国で経験するであろう、いかなる異国情緒と比べてもこの第一印象以上に魅惑的なものはないのだ。」(P.215)
ハーン自身も書きとめることが出来なかったそうですが、確かに真実だと思います。僕もフランスに初めて来た時は、とてつもなく気持ちが高ぶっていたのと思うのですが、その気持ちは思い出せなくなっています。フランス語をしゃべるようになったり、すでに慣習に触れたりしていると全く感じ方が違います。当時撮った写真を見ると、何の変哲もない道や、道ばたのゴミ箱とかを撮っていて、全く思考が思い出せません。

著者も第一印象を書きとめるのを忘れてしまったようですが、さすが新聞社に勤める記者だけあって、社会の切り取り方が巧みです。面白い本なので、外国人がどんな風に日本を見ているか興味がある方に一読することを勧めます。記者の発見した法則は、僕も気づいたことがあったりして、共感できるものでした。例えば、外国人が日本語をしゃべっていると気づくまでの間というのがあります。著者は、その解決方法まで提示していて面白いです。
また、「すみませんが.....」といってから、次の言葉を続けるまで三秒ほど間 をおくのも大変効果的だとわかった。おそらく、日本人にとって、自分の目の前 にいる白人が日本語を話していると悟るのに、だいたいこれぐらいの時間を必要とするのだろう。(p.30)
「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)
コリン ジョイス (著), Colin Joyce (原著), 谷岡 健彦 (翻訳)

基礎編—プールに日本社会を見た
日本語の難易度—日本語、恐るるに足らず
おもしろい日本語—イライラ、しくしく、ずんぐりむっくり
日本の第一印象—サムライ・サラリーマンなんていなかった
日本の日常—日本以外では「決して」見られない光景
行儀作法—英国紳士とジャパニーズ・ジェントルマン
独創性—日本人はすぐれた発明家だ
ビールとサッカー—日本の「失われなかった」十年
行動様式—日本人になりそうだ
ジョーク—イギリス人をからかおう
東京の魅力—わが町、東京を弁護する
東京案内—トーキョー「裏」観光ガイド
ふたつの「島国」—イギリスと日本は似ている!?
メイド・イン・ジャパン—イギリスに持ち帰るべきお土産
特派員の仕事—イギリス人が読みたがる日本のニュース
ガイジンとして—日本社会の「和」を乱せますか?
日英食文化—鰻の漬物、アリマス
おさらい—ぼくの架空の後任者への手紙

日本社会について手っ取り早く学びたければ、近くのプールに行ってみることだ。規則と清潔さを愛し、我慢強く、大きな集団の悪事に寛容な国民性が理解でき るはずだから。過剰なまでに礼儀正しく親切な人々、思ったより簡単で奥深い日本語、ガイドブックには載っていない名所の数々…。14年間日本に暮らす英紙 記者が無類のユーモアを交えて綴る、意外な発見に満ちた日本案内。

2 comments:

ちびた さんのコメント...

「早急に第一印象を必ず書きとめておきたまえ」なるほどと思いますね。すべてにおいてこれは成り立ちますね!

「ニッポン社会」入門も機会があれば読んでみたいと思います。

Madeleine Sophie さんのコメント...

そうなんですよね。新しいことをはじめる前に第一印象を書きとめておくと良いかもしれないと思います。この本は結構面白かったですよ。

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