2008年6月22日

[書評] フランス史10講

フランス史10講 (岩波新書)
フランスの歴史が、紀元前600年ごろから西暦2006年までが10つの時代に区切られて、説明されている本です。一冊の本でかなりの時代をカバーしているため、読んでいる時の時代の進み方のスピード感がすごかったです。ほんの数時間で2000年が経った気がします。フランスの歴史はドイツ、イタリア、スペイン、イギリスなどと密接に関わっているため、国際関係も良く分かるように書かれています。フランスの歴史の一般知識をつけるためにお勧めします。例えば、パリといえば、ずっと都だったように思うかも知れませんが、12世紀ぐらいから都として栄えだしたというようなフランスで住む上で知っておいた方が良いような知識が詰め込まれてます。
パリの発展は十二世紀からはじまる。...(略)...また、市内のセーヌ西岸のサントージュヌヴィエーヴの丘に立つ大学の名声が、ヨーロッパ各地から学生を引きつけた。一一六三から着工されたノートルダム大聖堂の建立も、ルイ九世の時代にほぼ完成し、その治下の十三世紀、パリはヨーロッパの経済、政治、文化の中心となる三つの条件を兼ね備えた。(P.39)
歴史には、歴史家によってもいろいろな解釈の違いがあります。230ページほどの本で2000年以上の歴史を扱っているので、一般的な解釈がとられていると思われますが、実は本書では時には通説とは違った解釈が提示されます。例えば、フランス革命の解釈では、「二〇世紀のフランス革命史家ジョルジュ・ルフェーヴルが三〇年代に提唱した複合革命論(p.116)」を元にした解釈が記述されています。他のフランス革命に関する本や文献を読んだときにはなかった解釈だったので、新鮮でした。
これによれば、フランス革命は一つの革命ではなく、アリストクラート(貴族とそれに準ずるブルジョワ)、ブルジョワ、都市民衆、農民の四つの「革命」からなり、結局、「ブルジョワの革命」が最大の成果をおさめたという意味でフランス革命は「ブルジョワ革命」なのだ、という。...(略)...言いかえると、貴族の王権に対する反抗、ブルジョワの貴族に対する反感、都市民衆の食料暴動、農民の土地騒擾は、単独では決定的な危機要因ではないが、同時発生によって結合連関を構成するときに革命となる、というのである。(p.116)
ずっと、フランスの歴史を見て来た後、現代のフランスの政治に対する考察も行っています。フランスは、対立の結果を徹底的に争う傾向があったのですが、近代ではそれが無くなっているという指摘です。
「フランスの例外」という言葉がある。西欧諸国のなかで、近代フランスの発展の仕方がユニークだということをさす。端的に言うと、政治的対立が宗教的信念の闘いのように、妥協をまったく許さぬきびしいものとなり、そのため歴史が苛烈な革命や内乱の連続となる。この歴史的特徴が終焉したということだろうか。(P.223)
歴史をテーマごとに10個にわけても歴史は続いているものです。実際に、現代フランスの政治にも少なからず反映されるはずです。フランスを知りたいという人は歴史を知ることは外せないと思います。
フランス史10講 (岩波新書)
柴田 三千雄 (著)

第1講 「フランス」のはじまり
第2講 中世社会とカペー王国
第3講 中世後期の危機と王権
第4講 近代国家の成立
第5講 啓蒙の世紀
第6講 フランス革命と第一帝政
第7講 革命と名望家の時代
第8講 共和主義による国民統合
第9講 危機の時代
第10講 変貌する現代フランス

フランク王国、百年戦争、絶対王政、フランス革命、一九世紀の革命、二つの世界大戦、「五月革命」など二千年余の激動の歩みを一冊でたどる。教会と国家、 中間団体、名望家国家、政治文化など重要なテーマも掘り下げながら、「ヨーロッパ地域世界の中のフランス」という視点を軸に、フランス史の独自性を描き出 す斬新な通史。

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