2008年6月13日

[書評] これから10年、新黄金時代の日本

これから10年、新黄金時代の日本 (PHP新書)
「これから10年、新黄金時代の日本」というタイトルだけでうそだ〜と考えそうです。人によってはうさんくさいと感じるでしょう。このタイトルだけだったら本書を購入していたかどうか怪しいのですが、著者が注目なのです。13年間、英誌『エコノミスト』の編集長を務めた方なのです。いかにしてこのような、にわかに信じられない説を導きだしたか、興味を持って読んでみました。以下著者の略歴です。
エモット,ビル [Bill Emmott]
1956年ロンドン生まれ。オックスフォード大学で政治学、哲学、経済学の優等学位を取得。英国『エコノミスト』誌ブリュッセル支局員、ロンドン経済担当記者を経て、1983〜86年、東京支局長として日本に滞在。その後、ビジネス部門編集長となり、1993〜2006年、同誌編集長を務める。日本のバブル崩壊を予測した90年の著書『日はまた沈む』がベストセラーに。2006年2月には、日本経済の復活を宣言した『日はまた昇る』(草思社)を刊行し再び話題となる
まず、この本について調べてみると、有名ブログの「池田信夫 blog」では「原著なき訳書」と論評されていました。たしかに、本書の始めには「Japan's New Golden Age -- of the comming 10 years」を和訳したように書かれています。ということで、www.google.comで検索すると検索結果はわずか3つ。右の画像はそのスクリーンショットです。やはり英語で書かれたはずの原著は世の中に出ていないようです。著者の発表作のページにはちゃんと明記されているのですが。

ということで、本書はエコノミスト誌の編集長を務めていたイギリス人が日本人に宛てた書として読む必要があるでしょう。題名の突飛さに比べれば内容は以外と普通でした。エコノミスト誌の編集長だったということで、経済の内容が多いのですが、「景気拡大のを持続させる三条件」にはこう書かれています。
二十一世紀初頭の今後十年における日本の状況を考察すると、次の三つに集約できると思う。第一に、企業が生産性を強力に、しかも継続的に引き上げることである。...(略)...第二に、この期間内にたとえ循環性の景気後退があっても、起業に闘士を続行する強い意欲があり、しかも消費者の購買意欲も衰えていなければ、それは短い周期で終わるだろう。第三に、この時期は、企業間の競争によって、商品価格の上昇が多分に抑制されるので、インフレ傾向が非常に弱まるに違いない。
循環性の景気だけを取り上げれば、これからの十年の日本は明るいのは当然といえるでしょう。好景気が永遠に来ない不景気はないことは中学生のときに習いますし、日本はすでに15年の不景気を経験してきました。その意味ではこれからの十年と言うのは少し固めを狙った予測といえます。一方その後の日本に対しても、中国・インドの台頭を肯定的に捉えて、日本にとって楽観的な予測をたてていました。

また、以下のように、予測を述べる時の最低限の保険も忘れていません。
「日は再び昇っているのか」と尋ねられたら、私は十年目にして始めて、「そうです!」と答えられると思う。その答えに対して、多くの日本人はもちろん、日本人以外の大勢の人々も疑問を抱くに違いない。彼らはこれらの徴候が、過去十年間に現れたように、日没のように突然消え、再び暗闇に戻るのだ、と疑うことだろう。ともすれば、そのように戻るかもしれない。というのは、誰しも心底から確信を持つことなどありえないからだ。
後半の第二部はは日本とはあまり関係なくなるのですが、かなりのアメリカ寄りな意見だと感じました。奇妙に感じる論点もあったので、今後またこのブログで取り上げてみようと思います。
これから10年、新黄金時代の日本 (PHP新書)
ビル エモット (著), Bill Emmott (原著), 烏賀陽 正弘 (翻訳)

第1部 日本経済の復活はホンモノか
これから十年、日本の新黄金時代がやってくる
日本の繁栄を持続させるためのヒント
企業の生産性向上が長く力強い成長をもたらす
中国経済、恐るるに足らず
日本企業は中国社会が大混乱に陥っても「沈まない」
第2部 世界潮流をどう読むか
日本経済とアジア諸国との関係
アメリカの「力」を見極める
世界におけるヨーロッパの役割
貧困、貿易、テロリズム
世界を変革できるアイデア

日本経済はなぜよみがえったのか?好景気はいつまで続くのか?人口減少や格差社会など不安要素が払拭されたわけではない。さらに中国やインドの台頭が脅威となっている。それでも著者は、「恐るるに足らず」と力説する。改革は着実に成果をあげている。日本は、“イギリスの復活劇”と同じような道を歩んでいるのだ。世界で最も信頼性の高い経済誌『エコノミスト』前編集長が、日本の近未来を肯定的に予測する。また、経済だけでなく、靖国、原爆、テロ、EU問題についても論考。世界潮流が見えてくる一冊。

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