2008年5月28日

ヨーロッパにおけるIPv6

次世代インターネットIPv6の基本仕様が策定されたのが1998年12月のことなので、今年の冬で10周年を迎えることになります。その間、全てのコンピュータがIPv6で接続されるようにはなりませんでした。現在このブログも現行インターネットIPv4で投稿されています。IPv6は日本が世界で最も進んでいるといわれている分野ですが、ここに来てヨーロッパでの活動も活発になってきました。このエントリーでは、ヨーロッパ委員会が昨日発表した「 ヨーロッパで2010年までに無尽蔵のインターネット・アドレスの源泉が湧きだす詳細版)」と題されたレポートを紹介します。

まず、ヨーロッパにおけるIPv6の背景として、以下のように書かれています。
過去、ヨーロッパ委員会は9億ユーロ(1500億円)をIPv6の投資に割り当ててきました。その結果、ヨーロッパの研究ネットワークはIPv6で結ばれ、ヨーロッパネットワークGEANT (IP/08/354)はIPv6普及で先行することになりました。IPv6に直接関わる30を超える研究プロジェクトはEUの研究フレームワークによって融資されてきました。
以下は、IPv6の普及によって、現行のインターネットのIPアドレス枯渇問題を解決し、安価・容易にインターネット接続したセンサに遠隔アクセスすることで、例えば街灯や、オフィスビルの効率的な電力制御が出来るメリットが述べられています。この辺りは、wikipediaのIPv6に書いてある通り、よく聞くところです。各国のIPv6の取り組みについて記述されているところでは、日本と中国ががIPv6の普及では筆頭に書かれています。
一方、日本ではNTT(Nippon Telecom and Telegraph)はすでに公的なIPv6のバックボーンを備えており、中国では北京オリンピックの前にIPv6とIPv4両方が共存したネットワークの計画を実行しようとしている。アメリカ政府は公共調達にIPv6を要求事項として求めているが、かれらの基本的に彼らのインターネット技術はEUと同等ぐらいである。
つづく文言には、今後の目標が書かれていています。今年末の目標と、2010年までの目標です。
今日の発表では、委員会は加盟国に対して、公的ウェブサイトと電子政府サービスどの政府のネットワークををIPv6に対応させることで、ヨーロッパの公的部門を普及の最前線にすることを通達した。また、委員会では、2008年末までに、ヨーロッパの最も重要なウェブサイトが先導することが望ましく、少なくともヨーロッパのトップ100の放送授業者やオンラインニュース事業者などのウェブサイト・オペレータの貢献を狙う。委員会が管理するEU所有の"europa.eu"は2010年までにIPv6でアクセス可能にする。ヨーロッパのIT事業者が前進するのを促進するため、加盟国は公共調達の条件をIPv6の使用とすべきで(ヨーロッパ委員会とアメリカ政府がすでにそうしたように)、ビジネスと組織の認知度を上げ、移行の手助けをすべきである。
放送授業者やオンラインニュース事業者には、今年末までにIPv6対応することが望ましいとあり、かなり野心的な目標です。しかし、発表元のヨーロッパ委員会の管理する"europa.eu"は2010年の対応を目標としているようです。他人に厳しく、自分に甘い発表のような気もしますが。

何にせよ、ヨーロッパ委員会の決定は、EU加盟国27ヶ国に影響を与えるものです。EUの経済圏は、日本より遥かに大きく、アメリカを凌ぐ規模です。ヨーロッパが本気でIPv6を主導することを決定した時の影響の大きさは、議論の余地がありません。「次世代インターネットIPv6における日本とフランス」で述べた、今年7月からEU議長国を務めるフランスのIPv6へのモチベーションも見逃せません。今後に注目が集まります。

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