2008年5月25日

地方在住者のパリ観


Paris, France
日本人はフランスといえばパリのイメージが強くて、フランス人に会うとたいがい、凱旋門、エッフェルタワー、ノートルダム寺院のことを話題にします。地方で育ったフランス人は、困惑気味にこう答えるでしょう。「テレビでしか見たことない」と。こういったフランス人と共にパリを訪れると、パリ好きの日本人の方がずっとパリに詳しいことが分かるでしょう。メトロの路線、地理、観光スポット、おいしいレストランなどに詳しい日本人が、パリの地理に詳しくないフランス人を案内するという奇妙なことが往々にしておきます。

また、地方出身のフランス人はパリを快く思っていない傾向があります。僕がパリの学校に行くことが決まったとき、「パリは危ない」、「メトロで悪いやつに殴られる」、「抵抗したら殺される」などと冗談まじりに言われてました。さらに、「メトロでipodを聞くと危ない。ボロいテープレコーダを持っていって、強奪されそうになったらipodを隠してボロい方を差し出せばいい」とか冗談言ってました。実際のパリはそこまで危なくないのですが。

地方出身のフランス人がパリに対する思いの複雑さは、普段の会話にも現れます。以下、お酒の席での会話です。
友人「フランス語うまくなったね〜。Sophieはもうほとんどフランス人だな。」
「ありがとう。じゃ、次はParisien(パリジャン、パリ在住者)になれるかな。」
友人「...(少し顔が曇る)」
「ああ違った、僕が住んでいるのはパリ郊外だった。Banlieusard(バンリュウザル、郊外住民)だね。」
友人「その方がいいね!(ニッコリ)」
「その方がいいね」って何がいいのかは聞かなかったのですが、パリが嫌だってことは分かりました。

「Sophieはもうほとんどフランス人だな」という言葉は、言われると非常にうれしい言葉です。フランス語を勉強して10ヶ月ぐらいだったこの日、毎日の努力が実ってフランス語の水準が新しいステージに上った気がしました。それと同時に、この言葉はとっさに言われると返答するのに困る言葉です。日本人としての自尊心と、否定したら悪いなという感情が入り交じって、曖昧な返事をしてしまうのです。同じシーンを日本でも見たことがあります。フランス人が「もう日本人だよ」と言われて、普段は気さくな友人が真面目に否定してました。日本人でもフランス人でも海外に出る時は、その国を代表しているんだという意識が多かれ少なかれあるんだと感じます。

6 comments:

M: 木蓮 さんのコメント...

確かにパリというのは日本では花のパリ、憧れの街、というのがまず来るかもしれませんが、フランスではちょっと違いますよね。こちらでパリ、というと、「ストレスがたまる。物価が高すぎる。たまに行ったり、観光にはいいけど、住むのにはちょっと」というのが大抵の私の回りのフランス人の反応です。それにSophieさんも書かれているように「危ない」というのもあるのでしょうね。

外国にいるとどうしても自分が日本人であるという自覚を持つと思います。自分の精神の奥底からの「日本人」を意識せずにはいられません。 もう随分フランスになじんでて、こっちの方がいいんじゃないの?と言われても内心とても複雑です。
どうしても自分の精神的意識の上ではフランス人ではありませんからね。

Madeleine Sophie さんのコメント...

ストレスがたまる、物価が高いというのは良く聞きます。事実なのかも知れなせんが。あと、他の地方の人より冷たいというのもよく聞きます。日本の東京も、地方からすると同じようなイメージなのかも知れませんけどね。

どんなにフランス語がうまくなったり、生活になじんでも、フランス人になるとは思いませんよね。「もうほとんどフランス人だな」というのは褒め言葉の一種なので、一生懸命否定するのもどうかと思いますしね。難しいところですよね。

M: 木蓮 さんのコメント...

このエントリーでSophieさんに共感するところが多かったので、私のブログの方でも地方在住者の立場でパリについてよく聞くことを書いてみました。
よければご覧くださいね。

Madeleine Sophie さんのコメント...

パリジャン・パリの地方での評判ですね。これは興味深いですね〜。ありがとうございます!

mi さんのコメント...

パリを悪く言うのはニースでも同じ傾向があると思います。
ただ地方の人が大都市のことをよく思わないのは日本でも同じことで、きっと世界中どこでも同じなのではと思います。
私の生まれ育った九州でも、学生時代に住んでいた関西でも、東京をよく言わない人が居ました。
これは都会から田舎に移り住むことは少なくても田舎から都会に出る人が多いし、モノに関しても田舎の都市に比べると東京やパリの方が断然多いので素直に「やっかみ」であると思います。

国家間でも同じことで、フランス人がアメリカをよく言わない人が多いのも、数字レベルでの衰えはあるといえ未だに経済的に力を持ち、メディアに関しても大きな影響力を持つアメリカをたんによく思ってないんでしょうね。

大きな国も大きな都市も、そこの出身者は周囲の意見に対してクールですがね。
そして色んな国の色んな都市で生活するモナコに住むお金持ちの人々にとってパリは遊ぶところが多い魅力的な町だという意見が多いようです。
町並みも綺麗ですしね!

あとさすが移民の多いフランス、ここで出会う人たちは話の流れで私が日本出身と言うまで、フランス人である前提で話ます。
まあいいんですが、見た目も態度も丸っきり日本人の私までもがフランス人に見えてしまうあたりがおもしろいと感じます。
ま、どっちにしてもパリの方みたいに軽く流れるようなフランス語なんて南に住んでたら残念ながら身につかないでしょう…

Madeleine Sophie さんのコメント...

miさん、
アメリカ←→フランスの関係は、パリ←→地方の図式に似ている部分もあるかも知れませんね。お互い日本←→フランスのようにまったくの別物とも言えず、冷静に対比できないのかも知れませんね。何となく、理性的な批判よりも感情的な判断のほうが、割合が多い気がしますしね。

フランスが上手だと、フランス人だという前提は分かる気がします。僕自身もどう見ても中国人であっても、フランス語を話している限りは「フランス人ですか?」と聞きますね。フランス人というのは見かけじゃないですからね。

ということは、南仏では話すのがゆっくりなんですね。来月に、Saint-Jean-Cap-Ferratに行く予定があって南仏初進出なんです。楽しみです。

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