2008年4月2日

なぜフランスに留学するのか:拡大するEU


Paris, France
なぜ留学するのかが 分かってもなぜフランスなのかという疑問は残ります。世界の超大国、アメリカでしょとか、技術の大国ドイツじゃないの?とかが聞こえてきそうです。フランスというと、芸術・美術・歴史・観光といったイメージを持つ学生が多いと思います。もちろんこれらのキーワードはフランスの一面を表していますが、理工学部の学生がフランスに留学する利点は複数の理由を挙げて説明できます。このエントリーはその理由の一つ、「拡大するEU」編です。

そこで、まずその理由の前に、現在日本を取り巻く状況と、博士課程の学生が学校を卒業した後の状況を整理しましょう。ご存知の通り、戦後復興と経済成長を成し遂げた日本は、科学技術の分野でトップレベルにあり、日本企業はグローバルはフィールドで強力なプレイヤーを演じています。自動車の世界販売No.1の企 業、世界の人々が一番買いたいデジタルカメラ、携帯型ゲームと据え置き形ゲームの販売シェアを見ても日本企業の持つ競争力は明らかです。

日本は戦後約25年で国内総生産(GDP)で世界第二位になった後、その座を約40年間守って来ました。しかし、2008年4月現在、中国の台頭、ユーロ高傾向などもあり、3位との差は縮まりつつあります。また、2010年頃に、日本はついにGDP世界第二位の座を中国に明け渡すと言われています。今後の世界は日本にとってさらに努力を必要する世界となりそうです。

戦後、占領政策や東西冷戦などの歴史的経緯から、日本とアメリカは強く結びつき、日本の経済的繁栄に寄与して来たことは間違いありません。アメリカは戦後一貫して、ダントツの経済大国でした。アメリカに輸出された日本製品は日本に 多くの富をもたらしました。この傾向は今後多少弱まることはあっても、現在博士課程の学生が社会で働く今後30年間の一貫した流れとなるはずです。

し かし一方で、アメリカを核とした一極集中型の世界観は崩れつつあります。アジアの台頭、ヨーロッパ連合(EU)の出現などによって、今後の世界は多極化へと進むと考えられます。ユーロの導入によって、ヨーロッパは単一市場としては、アメリカを抜いて世界で最も巨大な市場となりました。フランスは、単独では世界において優位な立場を取れないことも手伝い、EUをにおいて指導的立場に立ち、EUを背景として世界で大国として振る舞う戦略を指向しています。

その他、フランスという国は、ヨーロッパにおける技術大国、エネルギー大国という顔を持ち、その重要性は、フランス一国として日本人が捕えるよりずっと、増していると言えます。現在の日本のアメリカ重視の姿勢は、堅持されるべきというのは見識ある意見だと考えられますが、ヨーロッパを深く知る人材がいないと いうことは日本にとって大きな損失です。海外から日本に入ってくるニュースは、アメリカ・イギリスを経由したモノが大半です。

実際にフラ ンスに留学して研究の仕方を学んだり、フランス人的な考え方、フランス人研究者との協調を学ぶことは、学生が社会に出たときに物事を多極的に見ることを助けるでしょう。また、日本には、アメリカを深く知る研究者の存在に比べ、現状においてはフランスを深く知る研究者は不足しています。世界の中の日本の立場を考え、世界の多極化を考える時、ヨーロッパ連合の主導的国家であるフランスを知る重要性は増しています。理工学部の学生のフランス留学は決して荒唐無稽ではありません。検討することをオススメします。
関連:
2010年にGDPが日中逆転も ——日経ビジネス独自試算:NBonline(日経ビジネス オンライン)

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