2008年4月18日

日本の弱み:指揮官不在とフランスの強み


Vannes, France
このブログでは日本人の誇るべき点や優秀さににいて説明してきました(日本人はなぜ悲観論が好きか日本人の価値観:協調的な精神「和の心」)。殆どの物事には長所と短所があるように日本人にもたくさんの短所があります。このエントリーでは、その中の一つ指揮官不在について書きます。この場合の指揮官とは、その他の者に理念とヴィジョンを示し、状況を分析し決定を行うリーダー達のことです。

指揮官不在の短所は、日本の歴史の中でいたるところに表れていますが、最も典型的な例は太平洋戦争でしょう。明治維新以降、たびたび困難な状況におかれた日本はついに、勝ち目のない戦争に突入しました。いろいろな理由はあったとはいえ、決定を行ったリーダー達の失敗でしょう。一方、日本の技術者兵隊はかなり優秀でした。四年間の戦争のうち、最初の二年間はアメリカに対し太平洋地域での優位を保ちました。次の二年間は苦戦を強いられたとはいえ、降伏に至るまで二度の核兵器を使用されたのにも関わらず、アメリカによる主な国土の占領は沖縄だけにとどまりました。イラク戦争では、全土攻略に1ヶ月強しかかからなかったことを思うと、日本の技術者と兵隊の優秀さは特筆すべきモノです。ちなみに、どちらの時代にもアメリカは世界で圧倒的な軍事力を持っていたのです。

現在、戦場が経済に移った経済戦争でも同じです。例えば、国家間の経済的な争いで、日本の政治家(リーダー)は交渉力に欠けることが指摘されています。日米経済摩擦では、日本企業の技術者と労働者(兵隊)が優秀だったことと、政治家の能力のなさが証明されました。目を企業の中に移してもそうです。多くの日本企業では、理念とビジョンを示し、状況を分析し決定を行う優秀なリーダーが不足している一方、技術開発陣と労働者(ビジネスマン)の優秀さは世界中で認知されています。企業の例では、1998年頃の日産自動車がそうです。当時の日産は、世界最高峰の技術力を持ち、優秀なビジネスマンが支える強力な販売網を抱えながら、経営ではつまずき有利子負債2兆円を抱え倒産の危機にあったのです。リーダー以外が優秀だったことは、フランスからやって来た優秀な指揮官カルロスゴーンのもとで、急速に業績が回復したことで明らかです。まとめると、日本の三要素はこうなります。指揮官:×、技術者:◎、兵隊:◎

続けてフランスの状況を分析します。冒頭の第二次世界大戦の例では、フランスはドイツに対しあっけなく降伏します。しかし、戦後のリーダーの舵取りと努力によって、フランスは今でも国際連合の常任理事国として一席を占めるようになりました。企業の例では、奇しくも日産の立て直しがフランス人によってなされたことで、フランスのリーダーが優秀なことに異存はないと思います。フランスには、「フランスの教育」で説明したように、グランゼコールというシステムでリーダーを養成しているのです。多くの大統領や、カルロスゴーンもグランゼコールの出身者です。また、労働者はデモやストライキを頻発し、働かないと言われています。日本と同じように三要素を分析すると、こうなるでしょう。指揮官:◎、技術者:○、兵隊:×

日本とフランスは三要素の比較でも分かるように、補完の関係にあります。日本の強みとフランスの弱み、日本の弱みとフランスの弱みはきれいに対照をなしているは興味深いと思います。特に、リーダーの姿勢からフランスから学ぶことは多いと思います。

関連:
リーダー不在では日本は伸びない:NBonline(日経ビジネス オンライン)
技術系のグランゼコール

2 comments:

para さんのコメント...

ゴーン以外にフランス人のリーダーが日本人を指揮して成功した例ってあるんでしょうか?

Madeleine Sophie さんのコメント...

サッカーのトルシエ氏とかはどうでしょう。微妙ですかね...。

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