2008年4月16日

日本人の価値観:協調的な精神「和の心」


Saint-Malo, France
日本人はなぜ悲観論が好きか」のエントリーでは日本人の悲観論は今日努力すれば、明日はきっと良くなるという楽観論だと結論しました。昨今メディアに溢れる悲観論に染まり、気分を重くする日本人が多いのは少し気の毒だとだと思いますが、批判を敬遠しない日本人の価値観は素晴らしいモノです。「 中国はどうして日本に後れを取ってしまったのか」では、日本人の謙虚で勉強好き、絶えず進歩を求める心について分かりやすく書かれていました。その他、日本人のもう一つの素晴らしい価値観である協調的な精神「和の心」について紹介していこうと思います。

その前に、まず「 中国はどうして日本に後れを取ってしまったのか」の全体を俯瞰してみます。このページでは中国人の著者に中国人の悪いところと、日本人の良いところが比べられています。全体的に中国と中国人への批判的な精神に溢れています。「中国人は自尊自大である」と説く著者なりの中国への愛なんだと思います。実際、僕の働く研究所や在籍している学校にもたくさんの中国人がいて、彼らの優秀さは誰もが認知しています。また、成長著しい中国について5年前の2003年に書かれているので、現在の状況と違うこともあります。しかし両国の人々の傾向を比べた解説は興味深いです。
中国はどうして日本に後れを取ってしまったのか
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/030616ntyu.htm
  • 原因1:中国人は自尊自大であるが、日本人は謙虚で勉強好きである
  • 原因2:中国人は現状に安住するが、日本人は絶えず進歩を求める
  • 原因3:中国人は私利私欲ばかり追いかけるのに対し、日本人は滅私奉公の心を持っている
  • 原因4:中国人は内部闘争を好むが、日本人は一心団結している
  • 原因5:中国人は忘れがちであるが、日本人は執着心が強い
  • 最後の問題:果たして中国は日本に追いつけるのか
原因1原因2は、「日本人はなぜ悲観論が好きか」で書いた日本人の批判を受け入れて、努力しより良い明日を模索する精神について書かれていました。上記のページでは、明治維新後の富国強兵や戦後の経済発展の礎となった日本の技術力を元に説明されています。

長くなりましたが、原因3原因4がこのエントリーで紹介したい日本人の和の心についてです。上記の文章では、
中国の国有企業も日本の企業も「大鍋飯」(親方日の丸)に特徴付けられるが、日本の場合、それが全員に豊かな生活をもたらしたのに対して、中国の場合、揃って貧乏になってしまった。
として紹介されています。これは考えてみれば不思議なことです。日本人が組織の中で共同の目標に向かってみんなで努力するという場面では、だれもが共同の利益のために頑張ります。組織の中で最も働いたとしても損したとは思いません。むしろ組織の中で一番働いたことを、誇りに思う傾向があるでしょう。自分がそこまで働かなくても全体の業績に影響が無い場合には、手を抜いても不思議ではありません。日本人が普通に持っているこの精神は、実際は結構不思議なことです。フランスでも、自分の手柄にならないことや、自分の利益ではなくチームのためにやらなければならない仕事などは、敬遠される傾向があります。言い換えると、だれかが自分の利益ではなくチーム全体の利益のために働くということが想定されていない組織作りになっています。
日本人は一人なら豚なのだが十人集まれば龍となる。中国人は一人なら龍なのだが十人集まると豚になる。
“一个日本人像頭猪,十个日本人加起来就是一条龍.一个中国人是条龍,十个中国人加起来就是一頭猪.”
これは、僕が3年前に実際に中国人の友達から聞いた中国の格言です。中国ではよく言われるそうですが、中国人は自国の組織のまとまりの無さを嘆くために、日本の強力な協調体制のある組織と比べています。この日本的精神「和の心」は、実際に海外の人からは不思議の目で見られていて、いかに貴重なモノであるかわかります。昨今は日本は経済の不振から、組織の改革として欧米的な組織作りに苦心しています。欧米の利点を学ぶのはもちろん日本人の得意として来たところで、積極的にやるべきだと思いますが、自国の良いところを認識し守っていくことも必要なことです。

2 comments:

mi さんのコメント...

はじめまして、ブログ村から入って参りました、いつも楽しく拝見しております。

以前から話題にされている「日本人の悲観論」について、私も同感です。
日本人は多角的視点を持ち、一つの良い面を見つけても他で改良の余地がある所を見つけるとその問題に取り組む人が多いような気がします。
それが「悲観的な日本人」に繋がるのかもしれません。
そして「多角的視野」というのは「客観性の保持」を以って可能となるので、日本人は客観的な思考を持っていると考えられます。
その「客観性」があればこそ、「和」が生まれるのだと思います。
具体的に言えば、初等教育で受けた(私は道徳の時間に教わりました、世代や地域によっても異なるのかも…)「他人の立場になって考える教育」→「協調性を培うとともに他者の視点で物事を見る教育」があればこそ「和の心」や「客観性」が育まれると思います。
ただその協調性が競争心や向上心を妨げることも否定はできないので、仰るとおり欧米の良い面と日本独自の良い面を上手く混合できればよいですね。

私はフランス人に囲まれて仕事をしていますが、仕事内容のツメの甘さにびっくりすることが多々あります…
それも考え方や教育の違いでしょうね(遠い目)…

Madeleine Sophie さんのコメント...

miさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

フランス人に囲まれて、仕事をされているということで、境遇が似ていますね。大変な面もあると思いますが、お互い頑張っていきましょう。
フランス人と仕事をすると仕事の内容のツメの甘さは確かに気になりますね。決められた時間内に仕事をするので、時間がくるとクウォリティが甘くても、仕事を辞めちゃうんですよね。仕事を終わるまで時間を延長する日本人の対極だと思います。働き方にしても全てが日本人の方がすぐれているとは思いませんが。。
フランス人の働き方にも良いところがあるので、いろいろ学んでいきたいと思います。

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