2008年4月10日

軍事と研究


Paris, France
他の研究者の研究を見てみると、日本とフランスではいろいろと違いがあって面白いです。最近面白かったのが、研究の応用例です。基礎的な研究の場合、研究自体で興味をそそられるのは一部の研究者だけなので、有用と思われる応用例を挙げて他人を説得します。

応用例が最も効果を発揮すると思われるのが、研究資金の獲得のときの説得でしょう。お金を出す組織は、期待される成果が十分に役に立ち、必要であると認めてお金を出すのです。このことから、応用例の違いを知るということは、その国の政府や企業やどんなことに有用性や必要性を見いだしたりするか知るということにもつながります。

日本では、僕が研究している通信分野では、会社員が電車に乗ってケータイを利用している場合を想定したり、家族で自動車で旅行に行ったりする場合のナビゲーションなど、日常生活を便利にするような応用例を出します。それによって、具体的な成果に有用性を認めてもらうのです。

フランスに来て少し驚くことは、応用例に軍事が含まれることです。通信の利用例として、基地ー軍隊間や、部隊間の連絡を始め、軍艦などの連絡の応用例などもあります。おったまげたのが砂漠で走行する無人自動車が、GPSが無い状態で活動する技術でした。スライドに示された想定環境が生々しく戦場だったのが印象的でした。

無線通信のセキュリティについての別の研究では、妨害電波についてどう対抗するかということが問題になりました。無線通信における妨害電波とは、口頭の会話における爆音の騒音に相当します。つまり、妨害電波が発せられると通信そのものが阻害されるため、通信不能になります。どうしようもないのでお手上げということです。妨害電波について質問されは発表者は、電波発信元にミサイルを発射するしか無いと回答して笑いを誘っていました。

民生用の技術でも軍事用の技術でも基本的な技術は同じで、研究内容にはそこまで違いがありません。ただ、提示される応用例が違うのです。これはとりもなおさず両国では、各々の応用例を提示した方が、その研究内容に研究資金が降りやすいということです。日本では、特に大学の研究では軍事が忌避される傾向があり、一方フランスでは軍事分野にも政府の資金枠があって、それを狙う研究者が適した応用例を考えているようです。

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