2008年4月3日

なぜフランスに留学するのか:フランスの教育


Loire, France
過去二つのエントリー(拡大するEU編、不足するEU人員編)では、現状の日本とフランスを取り巻く状況から、フランス留学の魅力を説明してきました。このエントリーでは、なぜフランスに留学するのかという問いに、フランスの教育の観点から答えていこうと思います。まず、日本とフランスの教育で最も顕著な違いは、システム学費だといえます。この二つについて述べた後、フランス教育の質の高さについて、書いていこうと思います。

フランスの高等教育は、大きく分けてグランゼコールと大学とに分かれます。グランゼコールとは、多くの学生を教育する大学とは違い、少数精鋭のエリート教育を行う機関です。歴代のフランス大統領の多くはこのグランゼコールの出身です。理工学系のグランゼコールでは、エコール・ポリテクニーク (École polytechnique)、パリ国立高等鉱業学校 (École nationale supérieure des Mines de Paris)、エコール・サントラル(École centrale)などが、優秀な技術者を輩出することで知られています。

フランスの人々は、これらのグランゼコール出身者が社会を主導していることを認知していて、これらの学校の出身者に早くに重要な地位を与えることも、一般的です。例えば、エコール・ポリテクニークとパリ国立高等鉱業学校を卒業したカルロス・ゴーンは入社3年目で工場長、7年目で社長に就任しています。これは彼の能力・責任感がすぐれていたことを示すと共に、グランゼコール出身者が与えられる責任の重さも示しています。

次に、フランスの教育について知る時、日本人の我々が驚くべき事柄の一つが、学費です。フランスの学校はほとんどが公立学校で、学費が無料です。日本人はこの事実を知って驚くことが多いですが、フランス人は日本の学費が高額なことを知って、それこそ目を剥いて驚くことが多いです。フランスでは、フランスの三色旗に表されるように、国のモットーとして、自由(liberté)・平等(égalité)・博愛(fraternité) が最も重視されます。日本のような高額な学費は、貧しい人への平等が維持できないことも問題視して、フランス人は眉をしかめます。最近(2008年)は、 学費有料化が検討されていますが、それでも300ユーロ(45,000円)ぐらいのレベルの議論なようです。それほどまでに、高額な学費への抵抗は強いで す。

さらに、フランスの理工学部系の博士課程の学生は、研究所や会社で学生として働きながら、学校に通います。社会保険も充実していて、 月々手取りで1600ユーロ(1ユーロ157円とすると約25万円)ほどの所得を得ます。そして、この場合の仕事というのは、「自分が学習すること」と 「自分の学位取得のために研究を進めること」で、それ以外の仕事を課されることは一切ありません。

最後に、フランスの教育のレベルについてです。Web上の情報を集め大学、研究機関をランキングにしたWorld Universities' rankingに よれば(集めているのは英語情報でしょうから、日本・フランスが不利になる傾向を無視できないですが)、トップ24位をアメリカの大学が独占していて、東 京大学、京都大学、慶應義塾大学がそれぞれ世界ランキングで61位、142位、162位となっています。フランスの学校はというと、グランゼコールを含め、全然ふるいません。これをもってフランスの研究レベルが低位にあると考えるのは早計です。フランスでは教育は学校、研究は研究所というように役割分担 されています。同じウェブサイトで研究所のランキングを調べると、フランスの研究所のレベルの高さは明らかとなります。日本の研究所が、世界ランキング 43位に初めて現れるのに対し、フランスはフランス国立科学研究センターCentre national de la recherche scientifique,CNRS)とフランス国立情報学自動制御研究所Institut national de recherche en informatique et en automatique,INRIA)とフランス国立農学研究所(Institut national de la recherche agronomique,INRA)を5位、13位と23位にランクインさせています。フランスの研究機関は世界最高レベルにあります。

このエントリーでは、日本とフランスの教育機関の差異について説明しました。フランスの教育機関の学費や、経済的サポート、研究機関のレベルの高さなどを考慮すると、フランスへの留学という選択肢の魅力が見えて来ると思います。

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