2008年5月3日

[書評] フランス7つの謎

フランス7つの謎 (文春新書)
日本人がフランスに来て違いに気づくとき、その違いは興味深く感じられます。それは、その違いが自分の中の常識をひっくり返して、日本の文化を相対的に見られることが新鮮だからです。フランスに来て、この一種の驚きを感じない日本人はおそらくいないでしょう。この本はこの驚きの基本的なものを集めたものになっています。それを謎として定義して7つ紹介してあります。本書では、以下のように触れられています。

「日本の日常生活に慣れ親しんだ人にとって、フランスは謎です。こんな社会で暮らしたら、カルチャー・ショックを受けない方が不思議かも知れません。(P.13)」

僕は短期滞在(2、3ヶ月)で2度フランスに来たのが3年前で、今回フランスに来てからはもうすぐ1年になりますので、この驚きを体験したのはずいぶん昔のことなりました。その間自分なりにその回答を考えたりしていたので、この本は少し入門書過ぎたかも知れません。本書の著者の考えは僕のたどり着いた回答と大きく違う訳ではなかったです。最初にフランスに来る頃に読んでいたら、フランスを知る上で足がかりになったことでしょう。

日本とフランスに基本的に違っている文化として、国家や国民の形成の違いがあります。何を基準にして国家や国民が決まるのかという問題で、あまりにも基本的なことなので、こういうことに気が付いた時は驚きが大きいです。本書では、学校でのイスラムのスカーフ禁止問題を題材として、以下のように述べられています。
人間は生まれながらにしてフランス国民なのではなく、ルールを受け入れることによってフランス国民となります。フランス国民という集団は、このルールの上にはじめて成立するのです(P.34)。
フランス国民の基準としては、本ブログでも「フランスにおける言語の重要性」で述べた通り、フランス語が重要な役割を果たしていると考えられます。違う二つの事柄からも、フランスの国民は文化やルールを基に形成されていると結論づけられます。

日本が普通の国で、フランスは謎だらけの国なのではなく、どちらの国も謎だらけでどちらも普通とは言えません。フランスの謎に気づき回答を探すことは、とりもなおさず日本で普通だと思っていたことにもう一度疑問を持つことにつながります。フランスのことを知りたい人と共に、自国のことを知りたい人に薦めます。
フランス7つの謎 (文春新書)
小田中 直樹 (著)

はじめに フランスは謎である
第1の謎 なぜ政教分離をめぐって延々と議論が続くのか
第2の謎 なぜいつでもどこでもストに出会うのか
第3の謎 なぜ標識がバイリンガル表記なのか
第4の謎 なぜマクドナルドを「解体」すると拍手喝采されるのか
第5の謎 なぜアメリカを目の敵にするのか
第6の謎 なぜ大学生がストライキをするのか
第7の謎 なぜ美味しいフォーやクスクスが食べられるのか
おわりに フランスの歴史、日本の現在

2004年、一つの法律がフランスを揺るがせた。宗教の信仰を強調するシンボルを、公立学校内で着用することを禁じた法律に対し、イスラム系移民が自分た ちを標的にしていると猛反発、過激派がテロを予告する騒ぎとなったのだ。「自由・平等・友愛」がモットーであるはずの国で、なぜこのような法律ができたの か。その理由は、革命によって生まれたフランスという国の根本原理にかかわっていた—ニュースを見ていて感じた疑問を、フランスの歴史・文化の理解へつな げる、面白くてわかりやすい歴史学入門。

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